そもそもの始まり 32
それをきいてもまだ邵可を見つめている薔薇姫に、邵可は声かけた。


「……そんな風にまじまじ見られていると、気になるのだけれど」


「気にしなければよい」


「……なるから言ってるんだろ」


「気のせいじゃ、気のせい」


「……あ、そう。」


そう話す2人の周りはピンク色のオーラが溢れていた。

どうしよう、俺、すごくお邪魔っぽい。2人が眩しいよ


邵可はというと、薔薇姫の先ほど切ってしまい短くなったほうの髪をじっとみて、手を延ばしては何も触らずに手を引っ込めた。


そういえば珠翠にきられた長髪の鬘の髪総の位置が薔薇姫とお揃いである。


次に伸ばされた手は、細い手首に絡まる薔薇姫の鎖に触れる。そして邵可は鎖を持ち上げた。



「……これは? 本物みたいに見えるし、妙に質感もあってさわれるけど、違うよね」


その言葉に片眉を跳ねあげる薔薇姫


「術で鎖や枷みたいに見えているだけじゃ。実質は光や風や音の類じゃの。どれだけ歩こうが転がろうがぐるぐる踊ろうが、絡まぬし、重さもないし、永遠に歩くこともできる」


その言葉はまるでそうしたことがあるかのように、実際そうしたことがあるのだろうものだった。


「たまに存在に気づくと、ちょっと邪魔に思うがの。……ふん、仕事をする気になったか? 邵可」


何も考えていなさそうな邵可は、「……悪いけど、いっぺんだけ、触らせてもらう」と無遠慮につぶやき薔薇姫の首筋に手を延ばした。


変態はどっちだ、という目で、先程ーーもう大昔のように思えるがーーの言葉の主をみる


やがて邵可は手をはなし、上着をひっかけ背を向ける


「……今から死ぬほど考えてくる。1人にしてくれ」


「そうか、それはよい」


「結論出るまで姫連れ出すのは待っとくけど、ホントに死ぬなよー」



優雅に裾を翻し邵可に背を向ける薔薇姫の後をちょこちょこと俺はついていく。薔薇姫、どうして貴女はそんなに優雅なの。

それは全身構成要素が優雅だからよ、と誰かが言った気がした。

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空中三回転半宙返り土下座
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