「こっちから、クッキー、マドレーヌ、パウンドケーキです。」
まさか砂糖をさとうきびから作る羽目になるとは思っていなかった。蜂蜜も砂糖の代わりになりそうだが高すぎて大量生産は無理だろう
「あとわらび餅とフルーツポンチっぽいものも作ってみました」
フルーツがあまり揃えられなかったため白玉のほかには蜜柑や林檎くらいしかはいってない
「くっきい……櫂兎くんの故郷の言葉なのかしら? どれもこれも不思議な響きねえ」
「よく言われます。」
故郷の言葉ですらないけどね!
「どれもこれも美味しいと思うわよ。うん、でも大量に作るとなると材料費が馬鹿にならなそうねえ。日持ちもしないでしょうし」
「ぐっ、やっぱりそうなりますか。」
彩雲国では物品の流通があちらとは全く異なる。今回作るにあたって材料揃えるだけでも時間がかかった
はぁ、とため息をつく。
「まぁ趣味程度のお菓子作り感覚ですよね。あー、何かいい稼ぎ口考えないと!!」
「そうねえ……ねえ櫂兎くん、貴方が今着てる服、こういうところとか、こことか。これ、変わった作りになってるの、もしかしなくとも櫂兎くんが縫い直したりしてるでしょ?」
「えっ、なんで分かったんですか?! っていうかやっぱり変ですか?これ、そのままだと動きにくかったものですから」
するとおばさまはくすりと素敵な笑みを浮かべた。うん、優雅この上ない
「それ、いいと思うわよ。斬新で。
私の知り合いに服作ってる人いるの紹介するわ。きっと彼女も喜ぶでしょうし。ちょうど彼女、もう少ししたら注文していた服届けにきてくれるから」
その言葉に合わせるようにおばさまを呼ぶ声
そしてはいってくる人影
「頼まれていたもののお届けにあがりましたよー
って、ボーヤ! この服どこで買った?! ここの作り、珍しいわ!切り込みを入れて動きやすくしてるだけじゃなく布をあてて丈夫かつ目を引くような曲線を描いて……ああああ!素敵だわ!!」
「ねっ、喜んでるでしょう?」
そんなおばさまのことばに、服を握りしめブンブン揺らされている俺は苦笑するしかないのだった。
結局クッキー達は無駄骨かよ!!!
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bkm