そもそもの始まり 17
彼女、李穹さんはお金持ちから庶民まで、という客層豊かな服屋の女主人だった。
仕入れることもあれば店の方でも服を作っているらしく、俺の場合デザインを渡すことになった。

売れ行き好調らしく、俺の好みで服に花菖蒲模様をこっそり、さりげなく、一部にいれるものだから『隠し花菖蒲印』の服としてブランド扱いされているんだとか。



ちなみに彼女がおばさま邸に訪れたとき、お茶請けにしていたクッキーをいたく気にいってくれたようだったので、たまに作り差し入れている。

ほんのたまに余分に作り店先にちょこんと商品として置かせて貰ったら噂が噂をよび『幻の甘煎餅』なんてことになってしまった。
この世のものとは思えないほどの至福の味がするらしい。俺そんなもの作れねえよ



まぁ、そんな何だかんだでお金ががっぽり入ってくるのだ。テキトーに考えたのを渡すだけで儲かるなんて罪悪感がわくのだが、李穹さん曰く、「櫂兎くんにわたしてるのは櫂兎くんの服の売り上げの一割だけ!むしろ私が稼ぎまくれて申し訳ないくらいよ!」らしい。




しかしまあ、いくら服ができようとお金が儲かろうと

服やお金は食べられないのだ



そんな訳で俺は稼げたお金を元手に、貴陽とはちょっと離れた場所で土地を借り人手を借りお米を作りだした
借りる人手の方は労働条件も賃金も悪くなく、雇う層も広く。期間も最短一日、最長収穫を終えるまで。雇われる側の生活考えて設定していたら途中で儲からないことに気づいたが、服の方では次々とお金がはいってくるので支障ない。


全ては、これから起こることに備えて。収穫を迎えた大量の米は全て屋敷の地下行き。保存状態も悪くない





広大な敷地で、大量の人が雇われ、収穫された大量の米が櫂兎の屋敷の地下にこれから毎年、毎年消えることになる。

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空中三回転半宙返り土下座
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