よほど酷い顔をしていたんだろう。
半ば同情、半ば笑いを堪える顔でみられた。ひどい狸だ。
「して櫂兎よ、王の臣下ではなく、民でもなく、友となろうとしたその心は何かな?」
「…んー、」
どうしてだろう。何故か友になりたかった
ああ、でも多分あれか
「俺、1人のやつってほっとけない気質なんだ。
殲華が王ゆえの周りのやつらはいても殲華が殲華であることの友人っていなさそうっていうか何ていうか。まぁ、これお節介だし いらぬ心配なんだけど」
「ほう…?」
「あと俺がさみしかったんだー
ここにいきなり現れたって、瑤旋きいたんだろ?
本当に俺もいきなりで、周りしらぬ世界。一人ぼっちは嫌だったから。ある意味友人は誰でもよかった」
でも、殲華でよかった。
その言葉は心の中だけにして
「ふむ。ならこの瑤旋もお前の友となろう。1人より2人の方が心強いだろうしな」
これは心強いというか、扱いづらいというか
「嬉しくはないのか?」
「そ、そんなことないですよ、うん、ナンダカトッテモウレシイナー!ワーイワーイ!」
「……」
物凄く悲しそうな顔をされて凄い罪悪感が湧いてきた
「私がいればもれなく2人の友人もついてくるのに」
「瑤旋、俺らいい友になれると思う!」
がしっと握手である。
「現金な奴め……」
「狸に言われたくないです。」
先ほどのかなしそうな顔はどこへいったのやら
「しかし異世界からきたとか云々のこという癖に、知らぬはずの私の友人2人という形容に物凄く食いついたものだな。2人のことを、まるでよくよく知ってでもいるような、なあ。」
…勘いい人が多いのか、俺が分かりやすいのか。
確実に後者か
しかし未来の内容を知っていることを察されるほどではないだろう。悟られない練習、必要だな
何より未来を知っていることは起こることを止められたり変えることができるということ。それをしない己に罪悪感を抱かないように、周りから責められないように、自分を守るように。
変えたいとは不思議と思わない。むしろ原作が始まる前に帰りたい、佳那に会いたい。
「俺が異世界からきたとかいうくせに、瑤旋やおまけのお2人、殲華だけじゃなく、他にも色々知ってそうだからって、そのことについてききたいんだろ。
今は俺、接客するみたいに要件切り出すまでの回り道する余裕がないから手短に言うけど、異世界の、つまり俺のいた世界の御伽草子みたいなもののなかに、この世界の出来事がちょっとでてきたりしたんだよ。仙人様は物語られてもおかしくないだろ? それ以上は言いたくない。」
話しはじめれば最後、何もかも言いそうだから
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bkm