「俺はいつまで客人やってるんだか」
邸ができるまであと半年はかかるような口振りだった
おかげで庭の散歩コースが何種もできてしまった。
その散歩コースも、もとから廷内に人数が少ないせいか、全く人と遭遇したことがなかった
うーん、でも遭遇皆無なんて、不思議。
と、いつもの散歩コースのいつもの景色が変化する。いつもの庭には、見たことのない少年が佇んでいた。
「…お? なーにまだ若いくせにそんな年増でもしないような悩ましげな顔してるんだ?少年。」
「煩い。生まれてくる順番を間違えただけだ」
これはまさか清苑公子?
うーん、それはまぁ庭で1人こんなスーパーぼっちタイムするなんてこの子くらいだよなぁ
「まぁ、今はいっぱい間違っていーんじゃね? そのうち、本当の本当に大切な問題ってのがでてくるから、それに間違えなければいい話だろ」
「…お前は、噂の『父上の客人』か」
「まぁねー。君は…」
「……清苑」
「おいおい、むすっとしてんなよ。コレでも食って機嫌直せ坊ちゃん」
ポケットを弄り出したパイン飴をほいと清苑の口に放り込む
どうやらお気に入りいただけたようで口の中で飴を転がしているらしい。毒だったらどうすんだ…
ぽんぽんと頭を撫でてみる
こう見るとちょっと素直になれないだけで可愛げのある子供だ。
…これが腹黒くなるのだから時は非情である。
「櫂兎……俺の名前、な」
まぁ世界一可愛い妹大賞がうちの佳那なら、その佳那の兄である俺は世界一幸せな兄であり、世界一デキる兄であるべきだ
「兄だと、家族だと思ってくれると嬉しい。ほら、遊ぼうぜ」
「な、何をいきなりお前は」
顔を赤くする清苑
うん、妹は別格だから比較しようがないが、清苑まぁまぁ可愛い、かもしれない。
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