そもそもの始まり 04
いくら住む場所ができるまで廷内でやっかいになるからといって何もしないわけにもいかず、だからといってうろつくわけにもいかず。

ちなみに周りの者へはお忍びでの急な客人として説明されたらしい
正体不明だから色々な憶測が飛び交ったそうだが。
一番面白かったのは俺が王の隠し子だった説だろうか。無茶は言わないで欲しい


まぁ廷内散策は無理でも府庫にはいっておきたいと思ったので予め殲華に場所をきき、行くことにした。




府庫はどうやら無人のようだった。
窓際の机の定位置に座ってみる


ここが、風の吹く場所。
まだそんな予感はさせないでいるけれど

窓をそっと開ければ春の優しいあたたかな風が吹き込む


「運命の場所はこの桜並木のどこだろうな」





「ここにいたか」


急な声にびくりと身体を震わせたが声の主が殲華と知ってほっとする。


「んー。いい場所だなー」


「…櫂兎」


「ん?」


「お前、府庫にくるのは初めてでも、府庫のことは知っていたな。いや、府庫のことだけじゃなく、他も知っている。違うか?」


「…さぁね」


まぁ、全く知らない場所にきて、その場所のピンポイントに行きたがるなんて予備知識あるのバレバレだったか


「…なー、殲華。今お前息子何人?」


「4人だが……」


「…そう、」


「もしかしなくとも櫂兎は、これからのことを知っているんじゃないか?」


「…どうだろうねぇ」


俺は墓穴を掘るのが好きなのかッ自分に追い詰められる自分が悲しい…



「まぁ、何であれ。櫂兎のせいでどうなるわけでなく、なるものは、もとからそうなるようになるものだ、気負いしないで好きにしたらいいと思うぞ」


ああ、むしろこの王こそ未来知ってるんじゃないかとしか思えない、達観した発言だった。

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空中三回転半宙返り土下座
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