その年の国試の結果に、朝廷は騒がしくなる
「状元は史上最年少の17歳だとか」
「榜眼には藍家の直系だぞ」
内乱とはまた別の意味でざわめき立つ。それも暫くすればおさまるかと思えば、一向にその気配はない。
礼部留置きで新進士としてスタートした彼らは、いわゆる洗礼にもめげず、雑用も完璧にこなしその能力の高さを見せ付けた
「今日も靴磨き御苦労様!」
そして俺は絳攸の靴磨き常連客である。ちなみに、黎深は何かと絳攸を口では「ふん、あんなやつ」とか言っておいてかげで絳攸をみており、靴磨き中嫌がらせや悪口言った高官達にささやかな復讐をしている。仕事しろよ
「さて、問題です。この靴磨きを史上最年少状元及第で将来出世間違いなしの絳攸がさせられているのは何故でしょう!」
周りにちょうど人がいなかったのでにこにこしてしゃがんで言えば、おっかなびっくりに絳攸が口を開いた
「靴を…綺麗にするため」
「3点」
確かに俺の靴、綺麗になったよ。ありがとう絳攸、非常に君は靴磨き上手いよ。でもそうじゃないだろー
「模範回答なら『朝廷の情報知るのは勿論、本人やその話し相手の人柄みえる利点がある』ってとこかな」
「……」
「気づいてても言わなきゃ正解貰えないんだ、気をつけろよ」
「どうして俺に、いえ、私にそれを…」
「未来の後輩に、課題のお手伝いをとね」
にこりと微笑めば下をむく絳攸
気にせず続けた
「新進士に優秀なものが多い年、進士は礼部預かりで研修積むんだよ。かの紅尚書も厩番してたしね」
そういえば俺はその件でそんな仕事もらわなかったぞ…鳳珠の皿洗い手伝ったり何なりはしたが
「だからこの場所に君がいるのは、期待してるよって言われているようなものだからね」
俯いたまま、絳攸は何も言わなかった
そろそろ戻るか、と俺は立ち上がる
「吏部で待ってる」
そう言えばハッと顔をあげて目を丸くする絳攸
俺は手をひらひらと振って、その場を後にした
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