「……何か尚書、そわそわしてない?」
「尚書の養い子が、国試を受けるそうです」
「へえ……もうそんな時期なのか」
絳攸が国試を受ける、か。
絳攸繋がりで、振り切るように去って以来会っていない劉輝がふっと思い浮かぶ
次あったとき、どんな顔して会えばいいんだろう、そればっかりだ。
「棚夏殿?」
「へ? あぁ、ごめん、ぼーっとしてた。息子おもいだよね、尚書」
「……あの人、身内に関しては甘くなるんですね。一番それが酷いのは兄へですが」
「だね。そのくせ愛情表現が不器用だから…誤解されがちではあるよね」
そんな彼らしさが俺は気に入っていたりするのだけれど
「……私は、最近よく棚夏殿が今私のいる位置に本来つくはずだったのではと、思うのです」
貘馬木殿も、そんなつもりだったとかなんとか言っていたな
「何がどうであれ、現に楊修がその位置にいるんだからそうはならないよ」
そう言うと、楊修はすこし眉を寄せた
「でも棚夏殿は…」
「俺は、尚書にとって道端のぺんぺん草と何らかわりないからね。もしくは甘煎餅の妖精だから」
「……どうしてそんなに悲しい顔してるんですか」
「……だって…いくら尚書からしたら道端の唯のぺんぺん草でも、ぺんぺん草からしたら、尚書は本当に大事な愛しい友なんだよ」
それは、とても一方的で、とても悲しい
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bkm