進士、下っ端官吏 42
余った水羊羹を殲華のところへ持って行こうとすれば、途中で瑤旋にであった。
っていうか狙ったようなタイミングででてきて道を遮られた。


「櫂兎、どこにいく気だ?」


「へ? どこって殲華の……」


「…………今はいかない方がいい。大方その水羊羹を渡そうとしてきたんだろう。私がそれを届ける」


そうしてぐいっと水羊羹の皿を瑤旋は奪ってしまった。



「……途中で瑤旋が食べるかもしれないじゃないか」


不服そうに言えば、冷たい声がかえってくる


「食べるか、子供じゃあるまいし。それよりここにはもう来るな」


「……なんで」


「時がくれば呼ばれる。それまで来るな、ということだ」


「なんで!!」


「訊けばなんでも教えてもらえると思うな、私は櫂兎の友であって師ではない。
それに本当に分からないのか? とっくの昔にそれは分かっていたことだろう」


それは

あれか?



途端フラッシュバックした光景、殲華の腕に蠢くようにまとわりつくおどろおどろしい呪詛



「…………ッ」



「もう、さほど時間もない。お前も覚悟しておくことだな」


そう言った瑤旋の表情は、とても苦しくかなしそうだった。




「華蓮の水羊羹、美味しかったのだ!また作ってくれるか?」


「ええ、劉輝様」


「……どうした? 元気がないように見えるぞ」


「………いえ、何でもありませんわ」


そのとき上手く笑えたかどうか、俺には分からなかった

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空中三回転半宙返り土下座
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