余った水羊羹を殲華のところへ持って行こうとすれば、途中で瑤旋にであった。
っていうか狙ったようなタイミングででてきて道を遮られた。
「櫂兎、どこにいく気だ?」
「へ? どこって殲華の……」
「…………今はいかない方がいい。大方その水羊羹を渡そうとしてきたんだろう。私がそれを届ける」
そうしてぐいっと水羊羹の皿を瑤旋は奪ってしまった。
「……途中で瑤旋が食べるかもしれないじゃないか」
不服そうに言えば、冷たい声がかえってくる
「食べるか、子供じゃあるまいし。それよりここにはもう来るな」
「……なんで」
「時がくれば呼ばれる。それまで来るな、ということだ」
「なんで!!」
「訊けばなんでも教えてもらえると思うな、私は櫂兎の友であって師ではない。
それに本当に分からないのか? とっくの昔にそれは分かっていたことだろう」
それは
あれか?
途端フラッシュバックした光景、殲華の腕に蠢くようにまとわりつくおどろおどろしい呪詛
「…………ッ」
「もう、さほど時間もない。お前も覚悟しておくことだな」
そう言った瑤旋の表情は、とても苦しくかなしそうだった。
「華蓮の水羊羹、美味しかったのだ!また作ってくれるか?」
「ええ、劉輝様」
「……どうした? 元気がないように見えるぞ」
「………いえ、何でもありませんわ」
そのとき上手く笑えたかどうか、俺には分からなかった
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bkm