「劉輝様、本日は少し早めに来させていただきましたわ」
「華蓮…」
劉輝の室の扉を開ければ驚いた風にこちらをみる劉輝。今日もかわいいぞ
…あれ、なんだか不安げでそわそわしてる?
「劉輝様…どうかなさいましたか?」
「――父上に、呼ばれたのだ。これからいかねばならない」
「左様ですか。では私は…」
帰りますねといおうとしたところでそれを劉輝に遮られる。
「華蓮も一緒にこいと言われた」
ああこの時が来たんだなと、俺は瞑目し覚悟を決めた
室に入れば殲華は俺に何も話しかけずただ劉輝に「王になれ」といった。話が終わったところで二人去ろうとすれば、俺だけ残れと言われる。
そして二人。
「水羊羹、美味かった」
その殲華の言葉に、ここでいうことそれかよと泣きたいのか怒りたいのか分からない気持ちになる。
「殲華はばかだ。命と心どっちをとるかで心とって死ぬんだもん。」
心なしか涙声になり殲華の手を握るのに少し力が入った
「心を奪われたら、それはもう『紫殲華』じゃないだろう。だから俺は、俺のまま死ぬ、そういうことだ」
どういうことだかちっとも分かりたくない、知りたくもないと思うのに。
ああ殲華らしくて相変わらずかっこいいなこの友はと思ってしまう俺はもっとバカだ
「だいたい…心を捧げてしまえばお前のこと気にも留められなくなるんだ、そんなのは御免だったんだよ」
「御免でも何でもいいから、俺はそれでも友人が自殺まがいのことするの見る方がよっぽどつらいんだぜ」
「ふっ、………悪いな」
あの殲華に謝られるなんて思ってなかった俺は、本当にお前は馬鹿だと罵った
「でも、殲華、お前、最初から最後まで俺が妹の次に大事にしたい、友人としては一番の友人だったよ」
「ふん…当り前だろう。何せ俺だからな」
そして話はもうおわったとでもいうように殲華がこちらに背を向けた。
そうして俺は、この世界で初めての友と『お別れ』した。
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空中三回転半宙返り土下座
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