「そうそう、少しお休みをいただきましたの。ですから明日、明後日も遊びに来れますわ」
「そうか!」
とたん表情が明るくなる劉輝にホッとする
「水羊羹、味の感想きかせてくださいね。こちらは普通ですけれど、こちらは白あんにお抹茶や紅イモ混ぜ込んで見た目色鮮やかにしてみましたから。お口に合うといいのですけれど」
「華蓮の料理はおいしいに決まっているのだ!」
そうして水羊羹をほおばる劉輝
「あまくてとろけておいしいのだー!」
その言葉がうれしくて笑う。自分も口にする。うん、おいしい。我ながらいい出来だ
そうして何気ない話になる。
「最近宋将軍が酷いのだー この前なんて部下に二人がかりで追いかけさせて余は必死で必死で…」
「ふふふ、その部下さんは少し私も見知っていますわ」
白黒両将軍なら、彼らがまだ将軍職に就いていない新人の頃からまれた。なんでも、文官のくせに妙に太白将軍になれなれしいあの生意気なやつを締めてやろうとか何とか
太白さんは俺の心のお師匠だってのー
待ち伏せされて、二人同時に決闘申し込んできたものだから協定でも結んでいるのかと思えば偶然だったらしく、二人が喧嘩しあい、めんどくさくなった俺が二人同時にかかってきていいといえばふざけるなとか何とか言って。
結局一人ずつ相手することになって、素手で戦おうとすれば剣を持てと文句を言われ、素手のほうが戦いやすいといえばなめられていると思ったのかカッとなってかかってきた白のほうを投げ、それに驚く黒のほうも足を払い圧勝
勝ったほうが何か条件を呑むというルールだったので俺は彼らを「白ちゃん」「黒ちゃん」とよぶという何ともおいしく優しい条件を呑ませたのだった
「だから仕返しにこっそり兜を借りたのだ」
「それはそれは…お饅頭のふたに丁度よさそうですけど、汗臭いですわよ」
そう言えば驚く劉輝。俺は何があったのかもそ知らぬふりだ
「あら、口元に餡がついておられますわよ、劉輝様」
「…む、どこだ?」
「ほら、ここです、右の口元」
そういうと袖で拭おうとするのであわてて手巾を手渡す
「……とれたか?」
「右は筆をお持ちになられる方ですよ」
「う〜華蓮、とって欲しいのだ」
「……これくらい自分でできなきゃダメですよ?」
そういいつつ綺麗に拭ってやる。ああ、また劉輝をダメ男に一歩近づけてしまったかもしれない。だってあまやかしちゃうんだよ……子犬みたいな目して見つめられるとついつい甘くなる
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bkm