「実は藍家に姫として迎え入れたいって話をしたいっていうので王に許可を取ったんだ」
「表向きはそうでも、そんな気さらさらなかったし、王もそれを承知で許可くれた感じで君に話す気はなかったんだけどね」
「でも、君ならいいかもしれない。とても楽しそうだ」
「お断りします」
即答すれば嬉しそうな顔を浮かべる三人。うん、納得してもらえたっぽい。俺も断り受け入れてもらえるみたいなのが嬉しい。
「楸瑛には悪いけど」
「世の中家の名じゃどうにもならないものもあるってこと分かっていいんじゃないかな?」
「ああ、でも妹として欲しかったかもしれない」
何だそれは。姫ってつまり楸瑛の嫁?年の差いくつだよ
「言っておきますけど私、邵可殿より年上ですからね?」
「………冗談は別に要らないんだけど」
「嘘はいけないね」
「少なくとも僕達と同世代くらいだろう…?」
ああ、やはり信じてもらえないのか
「邵可殿とは十数年来の友人、彼と初めて会ったとき、まだ彼わんぱくでしたのよ」
嘘だ、と口々に三つ子がいうので信じてもらうのは諦め、話をまとめる。
「頭の中が春一色すぎて年増に手を出すような弟君との縁談はなしで、養子というのもなしで。よろしいですね?」
「うん、いいよ」
「でも君ならいつでも妹にきていいからね」
「藍家としても何かあれば力添えしなくもないしね」
「ええ、ありがとうございます。お話はこれで終わりましたね。では出て行ってくださいませ。後宮に立ちいることはこれ以上許しませんわ」
最後の追い払いまでばっちり女官の仕事をこなす。
「……手厳しいね」
「せっかく僕らが珍しく人を気にいったっていうのに」
「それが仕事ですから」
にこりと微笑みを向けた
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bkm