そもそもの始まり 02
こんな不思議な状況なのだから不思議なことはいくらあってもおかしくない。

ならば…しらみつぶしに可能性にあたっていけば、何か分かるんじゃないか?

そんな気持ちで質問を投げかける。


「ここは地球ですか」


宇宙人に拉致られ飛ばされた先がここ、なんてことでもおかしくない。互いに日本語話して意思疎通可能みたいだけど、相手の文明が極端に発達してるだとか意思疎通手段が声じゃないかもしれないし


「ちきゅ…?」


不思議そうな顔をする男。

そうか、地球という概念がないのか。よし、泣こう。

佳那よ、お兄ちゃんはもしかしたら数億光年ほど離れてしまっていてお前にもう会えないかもしれない。



「魔法で空飛んだり呪文で人を操ったりできたりしますか」


いっそ青い猫型ロボットや電気ねずみがいたり、例のあの人が杖振り回して高笑いしているかもしれない。小人が駆け回る夢の国に目の前の男はとても似合わないが


「空を飛べはしない、人を操れる血筋の者がいなくもない。とても稀有だが」


佳那よ、お兄ちゃんはもしかしたらお前が現実逃避の一貫としてしたいと連呼していた異世界トリップをしてしまったかもしれない。


「有名人…国王とかの名前教えてもらえますか?ていうか王政ですか?」


書物に関しては古き名作から最近のライトノベルまで結構読んでいるつもりだ。もしここがもしかしなくとも書物に記されている世界観なら原作知識は役に立つだろうし



「今の王は紫殲華ーーー俺だ」


なるほど異世界トリップならなにかの拍子で帰れるかもしれないな。彩雲国でしかも原作前か。佳那が喜びそうだ。


って、目の前の男が


「ええええええええええ王様あああああああああああ」


「ああ、そうなるな。」



王道とかそういう問題じゃない、ていうか本当に王の先にトリップの王道とかご都合主義かこの野郎

護衛やらなにやら1人もいない状況、しかもさっき俺叫んだのに誰も駆けつけないとかトリップものの特権か畜生


「ところでお前はこの世の者ではないんだな?
お前が着ている服、先ほどからの挙動不審さ、質問からして地球という国から不意に飛んできたか」


「地球は国じゃないんですけどね……まぁ、違う国どころか違う世界からここにきたみたいかな」


理解がはやくて助かる


「あ、王様相手にこの態度は問題アリか。先程はどーも失礼いたしました、ご無礼をお許しください」


とってつけたような突然の敬語に殲華はにやりとした。


「いや、いい。お前はこの世界以外から飛んできたんだな?
つまり民ではない、俺はお前の王ではない。」


「よかった…いや、よくないのか?」


民じゃないって思いっきり拒絶されてるんじゃ…


「あ、じゃあせめて友達とか…って、アリ、かな?

名前言い遅れたけど、俺は棚夏 櫂兎。櫂兎ってよんでもらえると嬉しい、あー、」


俺の友達発言に少し目を見開いたあと、目の前の男は至極面白そうに笑った


「変な奴だなお前は。…だが悪くない。俺のことは殲華でいいぞ、櫂兎」


「ありがと、殲華!」



気まぐれで首チョンは免れたらしい。興味持たれてたみたいでよかった…



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空中三回転半宙返り土下座
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