「おーい、佳那ー、部屋はいるぞー」
「あいおー」
ガチャリと扉を開け入り気づく
可愛い妹の可愛いピンクのカーテンのあった場所には何もない壁
妹の誕生日にあげたもふもふの大きなぬいぐるみのあった場所にはなにやら高そうな壺
妹が最近触るのを許してくれない勉強机のあるべき場所に天蓋付きベッド
兄はその机の中に必死に妹が隠しているであろうBL本が入っていることを知っているぞ…
で、だ。
妹が本来座っているであろう場所に
なぜだか男が座っていた。
え、佳那、お前いつ模様替えしたの
ていうか兄を女装させるのだけでは飽き足らず自分も男装しだしたのか?可愛い奴め。
(あぁ、でも)
これは確実に妹じゃない
こいつ美人だけど
俺の妹はこの何百倍可愛い
(じゃあ、こいつ誰だ…?
そもそも、ここは…何処?)
「兇手…にしては堂々としているな、それに殺気もない。
お前はここにどうやって、そして何をしにきた?」
不意に一応美人な目の前の男が声を発した。
やっとそこで男と目があう。
いい目をしていた。見据える力のある、目。
「………いや、それ俺もさっぱり。」
男の問いの答えは俺が知りたい。取り敢えず分かったのは男の前に急に俺が現れたということか。
いや、それより何より重大なことに………
「佳那の部屋に……入りそこなっ、た………」
俺はただ力なく項垂れた。
1 / 41
空中三回転半宙返り土下座
Prev |
Next △Menu ▼
bkm