一週間という長い刑部での侍童の振りした覆面官吏の仕事も報告終わり、何の気まぐれか貘馬木殿が3日休みくれたので、俺は三日間久々に劉輝を構い倒してやろうと、女装し後宮に顔を出していた。
「では珠翠、この分のお手紙や書類は書き終えましたので、一度目を通して内容よければそのまま出して下さいね」
「えっ、華蓮様、その、手紙や書類って…」
「ああ、私の室の机にあったあれです。全部終わりましたから安心してください。では」
それを聞いて唖然とする珠翠をよそに、俺は王宮方向に向かう
途中藍色の羽織を着た男性三人を見かけ、Uターンしたところで気付かれ声を掛けられた
「……失礼ですが、ここは後宮の敷地内ですわ。部外者は立ち退いて欲しいのですけど」
「それはそれは」
「でも私達はきちんと用事があって、王から許可もとってここにきたからね」
「人を探しているんだけれど、教えてもらっていいかな」
三方向からきこえる声に、若干顔を引きつらせる。
だってこれ、三つ子だぜ、どこからどうみても、三つ子なんだぜ。この世に三つ子は多くあれど、藍色の服きた三つ子は彩雲国じゃあの方々だけだろう!?
「藍家の御当主様方が、後宮で人探しとは一体どんな風の吹き回しで?」
「おやおや、どうやら警戒されてしまったようだよ」
「まぁ、三人で来てしまったし」
「何かあると思わない方がおかしいしね」
何のんきに三人、人前で話し合ってるんだ
「で…その、探し人って………」
「ああ、筆頭女官さんに取り次ぎ願いたいんだ」
その瞬間全力でBダッシュしようとしたが三つ子の視線がそれを許さなかった
「…………………私で御座います」
「「「え?」」」
重なる三つの声が憎らしい
「私が、この後宮にて筆頭女官を務めさせていただいております、華蓮と申します」
そうして綺麗に礼をしてみせた。
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