っていうか、結婚結婚って、みんななんでそんな結婚させたがるよ
国試で状元とったら嫁勧められるのは、要するに政治的地位が家に依存しているって文化があるからでー
好きだから結婚しましょうってなるのも結構一方通行になりやすいのが現実でー
お偉いだからその血を家系にとりいれるとか…血が優秀って、別に頭脳は遺伝しないのになー
「いっそその辺の子とてきとーに結婚しちゃった方がややこしくないとも思うんだけど…
相手に失礼過ぎるし好きでもないのに一緒にいるのはなー」
あ、もしかしてもっと一緒にいたいと思うことから結婚?
……そういや俺、旺季や北斗に嫁に欲しいって言われてるな、女装してたせいだけど
あと、まだ珠翠がちいさいころは「大きくなったら櫂兎様と結婚します!」とか言ってたなー。今言ってからかったら怒られるだろうけど、かわいかったなー
んー、でもなんか違うよな。そこはやっぱ愛とか恋とかだよな。
「……薔薇姫、恋や愛が食えません」
もう考えることさえ暑さで無理だ。とりあえず手近な日陰に入り、水分補給して涼む
考えたらわかる物なら考えるけど、まだ知らないものを想像して仮定して考えたって答えもでないし
とにかく疲れてしまっていた俺は、そのまま日陰に寝転がる
そのまま妹のこと考えてぼーっとしていたら何時の間にか日が傾いてきた
山をそろそろおりなければ、刑部の侍童に間に合わない
よっ、と身体を起こして墓碑にもう一度手を合わせる
もしかしたら秀麗に手を合わせた方がいいのかもしれないが、やったら変人扱いされるだろうし。
そうやって帰ろうとすれば
「あ。」
「げっ…」
静蘭と会ってしまった。彼の手には墓碑にそなえる予定であろう花
「なんだろう、そのえっとだな、これは…」
「……そういえば貴方が奥様の友人でしたね」
あれ、珍しく俺にも猫かぶってる。猫かぶってる静蘭って安定しないからなことあるよなー……
とりあえずぽふぽふ髪を触ってみる。うん、殲華の髪質、やっぱ好きだなー
「んー、と、『頑張れ』じゃないし『しっかりしろ』でもないし……そう、『秀麗ちゃんを泣かせるな、というより泣くのを堪えているとき泣かせてやれ』だな」
「……貴方の言葉は昔から要領を得ないのに終わった後で意味が分かるんです。私は、お嬢様を支えられない、お嬢様に救われてばかりで……」
「守りたいんなら守れるようになればいいじゃん、米倉門番してお米食べる生活にするにしろ、何したってね」
「……私は―――」
「っ、と悪いが俺、この後仕事あんだ、んじゃー」
手をヒラヒラと振って走る。いい逃げみたいになってしまったが仕方ない、このままだと本当に仕事に間に合わない。
俺は坂道を駆け下りた
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