1月25日



「名前、お願いがあるんだけど」
「六代目、顔色が悪いですよ?大丈夫ですか?」
「いーや、だめかも」

カカシは浅い呼吸を繰り返す。名前は心配になり、火影椅子に座るカカシの顔を覗き込んだ。その瞬間、手首を掴まれる。

「名前、キス、してくれ」
「え?は?えぇ?」

戸惑う名前を余所に、暗部面に手を掛けて外してきた。面はカランカランと音を立てて、床に転がった。

「キスしてくれないと死んじゃう」
「ば、ばかなんですか!?」
「名前ひどいよー」

逃げようとする名前と、何とかしてキスをしようとしてくるカカシの攻防戦が執務室で音も立てずに繰り広げられる。

「キスでチャクラ移してよ」
「そんなの出来る訳ないじゃないですか」
「いーや、やってみないと分かんないでしょ?」
「セクハラで訴えますよ!」
「素直じゃないんだから」
「ち、違う!」
「名前は強引なのが好きでしょ?」

机の上に名前の上半身を押し付け、カカシは名前の体にキスを落としていく。
二の腕の刺青、鎖骨、首筋、耳たぶ、まつ毛にも。愛しさを残すようにキスをしながら、マスク越しに唇を頬に滑らせる。
カカシの唇が口角に触れてマスクに手を掛けた、あぁ、キスをされるんだ、そう思った瞬間だった。

「先輩、大蛇丸が……」
「テンゾウ……お前」

テンゾウが扉を開けた瞬間、火影の羽織によって名前の体は隠された。
テンゾウが長年の暗部時代の仲間であることはカカシから聞いていたが、今は正規部隊で暗部の身ではない。名前の素顔が見られるのを防ぐ為であろう。
火影の羽織の中で、カカシの体が名前に密着する。いや、これはわざと密着させて来ている。

「先輩、そう言うのなんて言うか知ってますか?」
「んー?」
「職権濫用っていうんですよ」
「職権濫用じゃなーいよ、俺達は好き同士だもんね」
「火影様を断れる木ノ葉の忍がいますか……」
「え?そうなの?じゃあ、お前は俺が迫ったらオッケーなわけ?」

テンゾウの様子は名前からは見えなかったが、大きな溜息を漏らし、報告はまた後でしますから、と言って去って行った。
テンゾウの気配が消えて、カカシはやっと名前を解放する。

「さて、邪魔者はいなくなったし」

名前が抵抗する隙もなく、唇を塞がれる。
舌が触れて、名前は思わず唇を開く。カカシの舌が名前の舌を追いかける。
頭がぼうっとして、あ、どうしよう……体も心もトロリと溶けそうだ。

「ば、ばかー!」
「え、なんで?」
「ここで、ふ、服を脱がす人がいますか!」
「名前が可愛いからつい……」

名前はカカシによってはだけさせられたベストを直す。

「ごめんね、名前」
「別に大丈夫です」
「怒ってるよね」
「いえ、別に」

名前は、床に落ちていた面を拾い、顔につけた。

「名前ー、どうしたら許してくれる?本当は嫌だった?」
「別に怒ってませんから……」
「ん?本当?」

別に……その……と口籠る名前の後ろ姿を、カカシは見詰める。

「そ、そう言うのは……家で、2人きりの時がいい……で、す」

面から唯一出た耳は真っ赤で、カカシは自分の体が熱くなるのを感じた。

「じゃあ、今すぐ家に帰ろう」
「だめです。私は引き続き護衛任務に入りますから」
「えぇー」
「火影様なんですから、しっかりして下さい」

名前が言うなら仕方ないなぁ……と言って、カカシは判子を再びポンポン押し始める。

「今日は仕事早く終わらせるから」
「いえ、大丈夫です」
「えぇーそんなに俺は我慢できないよー?」

面の下からでも、呆れる名前の顔が想像できた。

「今夜は、名前の好きなトコロにいっぱいキスしてあげるね」
「ば、ばかなんですか!本当にあなたってひとは!」

耳も首も真っ赤にして名前は、執務室から出ていってしまった。ドアの前で、焦った気配がだだ漏れでカカシはクスリと笑った。

「本当、頑張っちゃおう」

書類に目を通しながら、名前には修行をつけてあげないとね、と気合を入れた。




1月25日 end.

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