悪魔に愛などない 結局先輩達のいじめは続いて、私はまた学校に行かなくなっていた。 そんなある日相川先輩からメールが来て私は驚いた。内容は今まで悪かったということと、学校に来れない程思い詰めていたなんで知らなかったから、ちゃんと謝らせて欲しい。切原先輩とも和解した。との事だった。 罠かもしれないと思ったけれど、あのプライドの高い相川先輩がメールでも謝ってくるなんて思わなかったから、私は指定された放課後に学校へ向かった。 もう部活は既に終わっていて辺りは暗くなっていた。指定場所の体育館倉庫に行くと相川先輩が立っていた。 「今までごめんね… でも、これで終わりにしてあげるから。」 その声は謝罪をしたいという声色ではなかった。相川先輩はにっこり笑って誰かと電話をし始めた。まずい、逃げなきゃ。そう思ったけど既に遅かったみたいで、私は後から入ってきた数人の男の人に押さえ付けられてしまった。 「あんたまた赤也と会ってたでしょ?赤也は私のなんだからいい加減付き纏うのやめてくれない?」 「私は別に、付き纏ってなんか…」 「嘘ついてんじゃねぇよ!赤也がそう言ってたんだよ!」 ああ…、切原先輩はやっぱり冷酷な悪魔だ。 私は一度たりとも自分から望んで彼に会いに行った事はないのに、切原先輩は自分の身を守るために嘘をついた。 分かっていた事だけれど、私の周りには味方が誰も居ない。その事が少しだけ悲しくなって涙が零れた。 「あんたの恥ずかしい写メ撮りまくって学校にばらまいて…そしたらもうあんたは本当に学校に来れないね」 数人の男の人に腕も足もガッシリと掴まれてしまってるこの状況では逃げられない。私は覚悟を決めて目を閉じた。 それでも胸や太股を揉んでくる男の人の手の感触が気持ち悪くて、僅かだが抵抗をした。 「暴れんじゃねぇよ!」 顔を殴られた。また抵抗すれば、お腹、また顔と色んなところを殴られる。 きっと今私はひどい顔をしているんだろうな。ああどうせなら顔が分からなくなるくらいグチャグチャに殴られて写真に写っても誰だか分からないようにしてくれればいいのに。でもさすがにそこまですると彼らもやる気が失せてしまうのだろう。何回か殴った後、また私の体を触り始めた。 「やだっ、やめて…っ」 「抵抗したらまた殴るぜ?ほらとっとと足開けよ」 足を無理矢理開かされて濡れてもいないソコにいきなり硬いモノが入ってきた。痛みの中に微かに甘い痺れがあるのは切原先輩に慣らされてしまったからだろう。自分の体が疎ましくて、悲しくなった。 「や、ぁあ…っ、や、め…、ああっ」 「しっかり感じてんじゃん」 「ていうか超胸でけー。俺パイズリしてもらおっと」 「んじゃ俺はフェラで」 口にも胸にもアソコにも男たちのペニスが触れていて、相川先輩はその様子を嬉しそうに撮影していた。 「はははっ、ヤリマン苗字名前のプレイ大公開ってね。あんた、マジ消えてよ」 「テメェが消えろよ」 そんな時聞こえた誰かの、聞き覚えのある声。うっすら目を開けると、それは真っ赤な目をした彼だった。 「切原…先輩…?」 「テメェら勝手に人の玩具に手ぇ出してんなよ」 そう言って男達に殴り掛かった。複数相手のハンデを感じさせないくらい圧倒的で、大量の血が流れるまで切原先輩は男達を殴り続けた。 切原先輩の恐ろしさに男達は隙をついて逃げだし、次に切原先輩は相川先輩を睨みつけた。 相川先輩も殴るつもりなんだろうか。私を平気で殴る切原先輩ならやりかねない。 「赤也、違うの…私あいつらに脅されてて…」 「お前の嘘なんか見え見えなんだよ。相変わらずウゼェ奴だな」 そう言って相川先輩の携帯を真っ二つにへし折った。icもSDカードも踏み潰されて粉々になっていた。 「どうして…?私を愛してくれてたんじゃなかったの?」 「は?俺がお前を?笑わせんなよ。お前は胸も小さいしまんこも緩いから相性最悪だったっつーの」 相川先輩はぼろぼろと涙を零して泣いていた。それを見ていたら何故か私も泣いてしまった。 「泣けば良いってモンじゃねぇだろうがよ。ま、これで別れるきっかけが出来たから丁度いいや」 「酷い…!………私、赤也の本性みんなにばらすから」 相川先輩がそう言った後、切原先輩はニヤリと笑って自分の携帯を開いて見せた。 それは私が犯されている映像。傍らでは相川先輩が嬉しそうにその様子を携帯で撮っていた。 それだけではない。今までの呼び出されて殴られている映像までしっかり残っていた。 「あのさ、一般ピープルのお前と学校の期待を背負わされてるテニス部部長の俺と、みんなどっちの言う事信じると思う?」 どこかで聞いた台詞だった。…それは私が切原先輩に初めてを奪われた日に私に投げ捨てた言葉だった。 相川先輩の顔から血の気が引き、泣きながら倉庫から走って出て行ってしまった。 この場に残されたのは私と切原先輩の二人きりだった。 「助けてやったのに礼の一つも無ぇのかよ」 「あ、えっと…」 でも元はと言えば切原先輩も悪いわけだし、私は心にもなくありがとうございますと、ぶっきらぼうに返した。後から事の重大さに気付いて私は咄嗟に殴られるのかと思っていたけれど、切原先輩の目からは充血がすっかり引いていて、「ウゼェ奴」と言って一人でに歩き出し、体育倉庫を後にした。 20111222 <<|back|>> |