涙を流した悪魔 | ナノ

悪魔に踊らされて







相川先輩の嫌がらせはどんどんエスカレートしていった。

呼び出されて殴られるのは当たり前。この前は髪を切られそうになった。結局髪じゃなくて腕を切られたわけだけど。

制服からは見えないから誰にも気付かれる事はなかったけれど、もうさすがに耐え切れなくなって私は学校を休むようになった。


「名前、学校で何かあったの?」

「何もない。放っておいて」

「…そう。たまには学校行きなさいよ」


親は元々私に干渉して来ないから楽だった。私は両親が仕事に出たのを確認して、リビングでテレビを見ながら遅めの朝食を食べた。



もう学校なんて行くつもりはない。友達も居ないし誰にも心配される事もない。

ボーッとしながらテレビを見ていたら携帯が突然鳴って、ディスプレイに表示された名前に懐かしくなって胸が高鳴った。


「もしもし」

「久しぶり名前。元気…じゃ、ないよね。」

「…え?」

「ごめん、立海の友達に聞いた。学校行ってないって」

「そう…なんだ」


幼なじみの長太郎くんから連絡が来るのは確か数年ぶり。部活で忙しい長太郎とは住む世界が違うと思って、私の方も意識的に距離を置いていた。

長太郎くんは優しいから心配してくれたんだろうな。こんな私の事なんか、今さら心配してくれなくてもいいのに。


「今名前の家の前まで来てるんだけど、少し話さない?」

「学校は?」

「サボっちゃった。そんな事より名前が心配だったから。」

「ごめんね、私のために。今開けるから」


ドアを開けたら懐かしい幼なじみの姿があった。長太郎くんに会うのは随分と久しぶりだった。最後に会った時より身長が伸びていて、大人っぽくなっていた。

中へ長太郎くんを招き入れて距離をとってソファに腰掛けた。


「学校で何かあったの?」


迷った。長太郎くんに本当の事を言うべきか。でも長太郎くんには私の事は関係ないから本当の事は言えなかった。


「何もないよ」

「嘘でしょ。名前は何もないのに学校休む子じゃないんだから」

「…」


長太郎くんには昔から全てを見透かされてるような気がしていた。彼は優しく笑って私を抱きしめて、「もう大丈夫だよ」と言ってくれた。

切原先輩にも相川先輩にも、その他の人たちにも優しくなんてされなかったから凄く嬉しかった。


「俺が守ってあげるから大丈夫だよ」










それから、翌日。私は学校へ行く事にした。先輩達のいじめは嫌だけど長太郎くんが放課後迎えに来てくれるらしい。それを思えば今日一日くらい耐えられる。そう思っていた。


「お前学校来たんだ」

「切原、先輩…」


久しぶりに会った切原先輩。私が学校に来ない間全く連絡が来なかったからもう私の事は用済みになったんだと思っていた。


「何か用ですか?」

「は?何だよその言い方。俺のが年上なんだから態度気をつけろよ」


切原先輩はうざったそうに私を見てそれから私に近付いてきて、空き教室の教壇に押し倒された。

もうとっくに部活の時間は終わっている上にこの教室の周辺は普段からあまり使われないため、助けに来てくれる人が居るとも思えない。切原先輩はそういう事まで全て分かっていたからここで私を押し倒したのだろう。


「生意気な後輩はきちんと躾けてやらねぇとなあ…?」


切原先輩は笑いながら私の制服のボタンを乱暴に外し、胸に舌を這わせて厭らしく舐めていた。いつものようにぐにぐにと痛いくらい強く揉まれて、乳首はたまに噛まれて、の繰り返し。舐め方も決して優しくはなく、全て吸い付くされるような感じだった。


「はっ、やっぱ巨乳はいいよな!」

「んぁっ…、ああっ」

「乳首噛まれて感じてんだろ?厭らしいな名前ちゃんは」

「やあ、ぁんっ…!」


もう私に興味ないと思ってたのに。この時私は思った。学校に来ればこの人の気まぐれにいつまでも抱かれてしまうのだろう。

その事実に悲しくなったけど、今は長太郎くんが居てくれるから、こんな事くらい耐えられる。そう思って必死に我慢した。


「生意気な雌犬にはしっかりお仕置きしてやんねぇと、なぁ…っ!」

「ああっ」


中に切原先輩のペニスが入ってきても、奥をえぐるように突かれても、私は耐えた。絶頂を迎えそうになっても、イかないように必死に耐えた、つもりだった…。


「はぁ、ん、い、やあっ…!」

「体は正直だよな、嫌々言ってもお前のまんこはイきたくてしょうがないって言ってるぜ」

「やだぁ…、もう、だめぇっ…!」

「オラ、イっちまえよ!!」


ガツン、と奥を突かれ体が震える。体に電流が流れそうになって、必死に耐えてるつもりだったけれど、もう限界だった。


「ぅ、ああっ、んっ」

「おらどうしたんだよ!イきそうなんだろ?たっぷりイかせてやるからよ…!」

「あ…っ、あっ、イ、くぅ…っ!」


ピクピクと体が震えて私はイってしまった。切原先輩も私の中に精子を出したのに、まだペニスはしっかり硬くて、再び中で律動を始めた。

感じたくないのに、久しぶりに抱かれる感覚が堪らなくなってしまって、快楽を求めて自分から腰を振る始末。切原先輩は満足そうに笑いながら腰を打ち付けてきた。


「お前のヤラシイ姿俺一人で堪能すんのは勿体ないからな、今日は観客を呼んでんだよ」

「え…っ?」

「入ってきていいぜ」


私は驚愕した。扉を開けて入ってきたのは昨日会ったばかりの幼なじみ。私の心の支えでもある、長太郎くんだったから。

私が驚いている間にも切原先輩は容赦なく腰を打ち付け、長太郎くんに私達の行為を見せ付けていた。

長太郎くんにこんな姿を見られるのが嫌で必死に抵抗しても切原先輩に体をがっちりと押さえ付けられてしまってびくともしなかった。


「やぁっ、やめて!やめて、ください…っ」

「はっ…、いい顔。鳳!名前はなぁ、こうやって無理矢理激しくされんのが好きなんだよ!」

「あっ、あっ、嫌ぁっ…!」

「ほら、大好きな幼なじみの前でイっちまえよ!」

「ああっ…、あ、ぁあん…!」


最悪だ。

長太郎くんの見てる前で私は簡単にイってしまった。



そして私はこの時悟った。長太郎くんが言っていた立海の友達って、切原先輩だったんだ。

切原先輩は分かっていたんだ。長太郎くんの性格も全部。そして今日こうなる事も。

私には一筋の希望の光を見出だす事さえ、許されていない。


「鳳もしっかり勃起してんじゃねーかよ。お前もするか?」

「俺は…俺は…っ、」


長太郎くんは何か言いかけて、その場を後にしてしまった。彼から連絡が来る事はその後一切無かった。





20111221




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