対決
「だから、セピアはオレと買い物行くって言ってるだろ。な、セピア」
「いや、僕と一緒に行くよね?セピア」
「・・・はぁ」
ラピードが私の横で顔を伏せている。
このやり取りが始まり約1時間。
いい加減、どうでもよくなってきた。いや、初めからどうでもいいのだが。
そもそも私は出かけるつもりがない。
そう言ったのも1時間前。
言っても聞かない、相変わらずの幼馴染に溜め息がでた。
「ほらみろ。おまえが我がまま言うから、セピアが呆れてんじゃねーか」
「君に呆れたんだろう?大丈夫。僕が君の分までセピアと楽しむから」
「・・・どっちにも呆れたんだけど」
「はあ?ふざけんな。オレがフレンの分まで楽しんでくるから、
だから帰れ」
「ふざけているのは君の方だよ」
「・・・どっちもふざけてるわ」
「・・・」
「・・・」
先ほどから私は行く気が無いと言っているのに、
二人は話を聞かず、睨み合い。
何よこれ。なんで私がこんな目に遭ってるの?
私は本を読みたいだけなのに。
「こうなったらセピアに聞こうじゃねーか」
「望むところだよ」
「だから!私はさっきから・・・」
「はっ。軽口言えんのも今のうちだぜ、フレン」
「ユーリこそ。ショックで顎が外れても知らないよ」
「だから・・・」
「言うじゃねえか」
「君だって」
どこまで人を無視し続けるのか、この二人は。
もう一度溜め息を吐くと、私は二人に背を向ける。
「・・・もういい。ラピードと買い物に行くわ」
「大体おまえは・・・」
「君の方こそ・・・」
「・・・聞いてるワケない、か。ラピード、行きましょ」
「ワン!」
何故か気分のいいラピードと共に、
私は読書も二人の説得も諦めて買い物に行くのだった。
私とラピードがいない事に二人が気付くまで、あと10分。
(・・・!大変だ!セピアがいない!)
(なんだと!?)
(・・・もう旅にでも出ようかしら)
(わふ?)
(ううん、ちょっとあの二人に疲れただけ)
(ワン!)
[前←]
[次→]
戻る
Topへ