絶望
魔物はどうやら、最後の力だったらしい。
魔物は少し遠くで倒れていた。
「ゆ、ユー・・・リ?」
「っ・・・」
私の横に倒れているユーリを見て名前を呼んでみる。
生きてる・・・。
理解した瞬間、私はユーリを背負い、急いでハルルに戻った。
「ユーリ・・・」
ここはハルルの病室。
血だらけのユーリを背負った私を見た長は、急いでこの部屋を
貸して下さったのだ。
「ユーリ」
なんとかユーリの治療を終えた私に襲いかかったのは、
とてつもない罪悪感。
(私が茂みから飛び出さなければユーリは・・・)
後悔したって何も変わらないって分かってる。
それでも考えられずにはいられない。
なんて自分は馬鹿なんだろう。
人を助けたいとか言いながら、自分で人を傷つけてしまうなんて。
罪悪感が、心を支配していく。
その時、ユーリから小さく声が漏れた。
「ぅ・・・・!」
「ユーリ・・・!」
ユーリはゆっくりと瞼を開けて、天井を見つめる。
「ここ、どこだ・・・?」
「ハルルの病室だよ。・・・ごめんね。私の不注意で・・・・」
ユーリなら「そんなの気にすんなって」とか言うんだろうけど。
それでも言わずにはいられない。
「ごめんね・・・」
「・・・」
何回も、何回も謝る。
しかし、ユーリが何も言葉を発しないのにさすがに疑問を抱き、顔を上げる。
瞬間、私の心が凍った。
「おまえ、誰だ?」
目の前が、真っ暗になった。
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