停止
「またハルルに寄ろうね、ユーリ」
「ああ」
ハルルの街を歩きまわり、私の本来の目的である人助けも出来て、
まさに一石二鳥の旅だ。
そして今私たちはエフミドの丘を越え、ノール港へ向かう
・・・はずだった。
『グォォォォオオオオ!!』
「あいつ・・・!この前の・・・!?」
大きな狼のような魔物が、こちらを睨んでいる。
ユーリは見覚えがあるのか、すぐに剣を抜き、私を自分の背に隠す。
「セピア、ちっと隠れててくんねえか?」
「え?」
「大丈夫だって。ちゃんと守ってやるからさ」
「・・・わかった」
私がここにいてはユーリの足手まといだ。
私は近くの茂みに身を潜める。
(頑張って・・・ユーリ・・・!)
「はあっ、はあっ・・・」
魔物との体格差はあったものの、結果はユーリの勝利に終わった。
急いで私はユーリに怪我はないか確かめようと
茂みから身を乗り出す。
「ユーリ、大丈・・・」
「!セピア!危ねえ!!」
ユーリのもとへ行く寸前、ユーリの焦った声と共に私に覆いかぶさる何か。
それは紛れもなくユーリで。
背中からはドロリと赤い液体が・・・。
そこまで考えて、私の頭は真っ白になった。
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