真実
「っふぇ・・・」
ユーリが去ってすぐ、私はその場に泣き崩れた。
自分から距離をおいておきながら、
ユーリが去った途端にコレ。
・・・ははっ、バカみたい・・・・。
泣いて泣いて、どれくらい時間が経ったのだろう。
(・・・いや、時間なんて関係ないか。)
ユーリが隣にいない。
それだけで、何もかもどうでもよくなる。
「そういえば・・・」
ユーリと付き合い始めて一回大泣きしたっけ。
思い出して、思わず笑ってしまう。
「そうだ、私が泣いた時、
ユーリはずっと傍にいてくれたなあ・・・」
あの時は嬉しかったなあ・・・。
・・・そういえば、なんで泣いたんだっけ?
「他の女がセピアに『オレと私は付き合ってる』って
嘘吹き込んだんだろ?」
突然後ろから声が聞こえたかと思えば、何かに抱きしめられる。
聞きなれた声。
落ち着く香り。
暖かい体温。
それは、まぎれもない・・・
「・・・ユー、リ?」
「ん?なんだ、セピア」
「ユーリ・・・」
名前を呼べば、更に強く、優しく抱きしめてくれる。
ああ、間違いなくユーリだ。
理解した瞬間、私の瞳からは雫が落ちる。
ユーリはそれを優しくぬぐってくれる。
「ごめんな、セピア」
「いい、いいよ」
「セピア・・・」
「ユーリ・・・!」
ユーリは、私を安心させるように何度も私の名前を呼ぶ。
それだけで、私の心は暖かくなっていく。
「セピア・・・」
「ん、ユーリ・・・」
突然顎を優しく上げられたかと思うと、
ユーリからの優しい口付け。
「もう忘れたりなんかしねぇ・・・。
・・・愛してる、セピア」
「わた、しも・・・。愛してる、ユーリ」
たとえ記憶がなくなっても。
想いは心に残ってるよ。
Everytime, you have the truth in your heart.
(真実はいつも君の心の中に・・・)
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