捕まったのは・・・?


「ユーリ・ローウェル!今日こそ牢屋に入ってもらう!」

「なんだ、そんなにオレに会いたかったのかよ。

 ったくしょうがねぇなぁ、セピアは」



騎士である私は悪人を捕まえるのが当たり前。

この男、ユーリ・ローウェルも悪人だ。

貴族街に不法侵入したり、他の騎士を馬鹿にしたり。

だがいつも捕まえらえない。何故かと言うと・・・・。



「違う!私が来たのはお前を捕まえるためだ!ユーリ・ローウェル!」

「だから、お前がオレのことちゃんと名前で呼べば

 捕まってやるかもしんねぇじゃん」



そう。この男、いつもふざけて結局逃げる。

あまりにしつこく追いかけても他の人に迷惑がかかるため、

追いかけられない。

このやり取りも何十回も続いている。



「知るか!いいから来い!」

「お、セピアからのお誘いとは。嬉しいねぇ」

「ち、違う!」

「おー、顔真っ赤。かーわい」

「〜〜〜〜〜!!」



この男はいつも歯の浮くような言葉を簡単に吐く。

そういったものに慣れていない私は、すぐに頬が紅潮してしまう。



「なぁ、いい加減返事くれねぇ?オレもう待ちくたびれたんだけど」

「?なんの返事だ?」

「!?お、前・・・。あんだけやって気付いてねぇのか?」

「だから何がだ!」

「・・・・・はぁ」



いきなり何を言い出すんだ、この男は。

主語を言え!主語を!



「んじゃ、お前がわかりやすいように言いなおすから、しっかり聞いとけよ」



さっきまでふざけていた奴が嘘のように真剣な顔つきになる。


う・・・。ちょっとかっこい・・・・・。

って、何を考えているんだ私は!?


変な考えを打ち払い、目の前の男に意識を向ける。


「オレは、セピアの事が好きだ」


言い終わると同時に、唇に暖かい何か。






どうやら、捕まったのは私のようだ。






(なっ・・・・・!!)
(ぷっ、茹蛸みてぇ)
(わ、笑うなー!)





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