ありがとう、さようなら


どうして彼女は僕の隣にいないんだろう?

答えは一つ、僕が彼女を護れなかったから。


どうして彼女を護れなかったんだろう?

答えは一つ、僕が彼女から瞳を離してしまったから。



僕はなんて愚かなんだ。

子供の頃から彼女を命に代えても護ると何度も決めたのに。



ごめんね。護れなくて。

ごめんね。痛い思いをさせて。



どんな言葉を紡いでも、



彼女は怒らない。

彼女は泣かない。

彼女は笑わない。


だけど、せめてこの言葉だけは言わせてくれるかな?






「ありがとう、さようなら」






優しい風が頬を撫でた。








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