君に落ちる



「よ、セピア。相変わらずいい身体してるな」

「・・・来て早々変態発言は止めてください、ユーリさん」



市民街の隅の方にある小さな花屋。

私はここで働いている。

子供の頃から花が好きだった私は花屋で働くことが夢で、

今は充実した毎日を送っている。


・・・一部を除いて。



「しょうがねぇだろ。そんな身体をしてるセピアが悪い」

「何で私が悪いんですか!?」



この男、ユーリ・ローウェル。

毎日この花屋に来ては私に変態発言をする。


なんなんだ、一体。



「んで、今日のオススメは?」

「あ、えっと・・・。この花、ですね。今の時期にとても綺麗に咲くので」

「んじゃ、それもらうわ」



変態発言のあとは、必ず私のオススメの花を買ってくれる。

それも、毎日。

本当になんなんだろう。



「はい、200ガルドになります」

「ほい」

「あ、ありがとうございます!」

「いいって。何せセピアのオススメだからな」



そして、この言葉。

いつもの変態発言とは違う、ちょっとかっこいい言葉。


私は、この言葉にとても弱い。

だって、本当に嬉しそうに笑うから。

勧めた自分が照れてしまって。



「お、顔真っ赤」

「や、これは・・・!」

「かーわい」

「っ!!」



可愛い。

その言葉は、私の心を大きく揺らした。



「あ、ぅ・・・」

「・・・やべ、マジで可愛い・・・・」

「も、やめてください・・・」



本当にやめてほしい。

これ以上は、私の心臓が持たない。



「・・・なんで」

「ん?」

「なんで、そういうこと言うんですか・・・」

「なんでって・・・」

「ちょっと・・・。ちょっとだけ、かっこいいとか思うじゃないですか・・・」

「っ!」



たぶん今の私の顔は今まで以上に真っ赤だ。

理由は、先ほどの自分の発言。

恥ずかしい。穴があったら入りたいくらいに。


チラッとユーリさんを見ると、彼も少し頬が赤かった。



「おまえ・・・。本当に可愛いな」

「ぅ・・・」

「・・・はあ。もうちょっとゆっくり攻めてくつもりだったんだけど・・・」

「・・・?」



攻める?何のことを言っているのだろう。

疑問符を飛ばしている私に、ユーリさんは真剣な顔で私を見る。


その表情に、また心が大きく揺れた。



「セピア・・・」

「っ・・・」

「好きだ・・・・」



優しく、だけどはっきり聞こえる声で、ユーリさんは言葉を紡ぐ。


そんな彼にあっけなく落ちたのは、言うまでもなかった。






(わ、たしも・・・。好き、です)
(・・・)
(・・・ユーリさん?)
(・・・襲っていいか?)
(駄目です!!)





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