現金彼女


「ゆうりー」

「んー」

「ひまー」

「んー」

「出かけようよー」

「んー」

「・・・はあ」



今日はユーリの仕事は休み。


久しぶりに二人きりなのだからたくさんしゃべりたいし、

その・・・、イチャイチャしたいというか・・・。

要するに構って欲しいだけ。


なのにユーリは、剣の手入れをしていて、生返事ばかり。

正直言って、つまらない。



「・・・ユーリのバカ」

「んー」

「バカバカ」

「んー」



・・・ひどい。

真剣なのは分かるけど、少しくらいこっちを向いてくれたっていいのに。

それとも、寂しいと思っているのは自分だけで、

ユーリは何とも思っていないのだろうか。

・・・考えて悲しくなってきた。



「・・・もう、いい」

「んー」

「フレンのとこ行ってくる」

「んー」



本当にどうでもいいのか。

ふんだ!もうユーリなんか知らない!


外に出ようとすると、後ろから手を引かれる感覚。


「・・・何」

「フレンのとこなんか行くなって」

「・・・・聞こえてたの?」

「あたりまえだろ?」

「じゃあ返事くらい・・・っ!」



私の言葉は最後まで続かなかった。

唇には柔らかい感触。


目の前のユーリの顔を見て、ようやくキスされたんだと分かった。



「なっ・・・!」

「悪かった。せっかく二人きりになれたのにな」



ユーリが自分と同じ事を考えてくれた。

それだけで、私の顔は綻んでしまう。



そんな私は現金なのかな?






(さて、どっか出かけるか)
(!ホントにちゃんと聞こえてたんだ・・・)
(ああ。もちろん、セピアが「バカ」とか言ってたのもな)
(え)
(今夜は覚悟しとけよ?)
(ぅ・・・。そんな・・・)





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