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時は刻々と流れ、放課後になった。どこのクラスもチャイムが鳴り終わると同時に教室のドアを開けて帰って行く。自分のクラスもそうで、教室のドアは気付けば開いていた。元気良いなあ、なんて思いながら鞄に教科書などを入れていると、視界の隅に恐らく違うクラスの人であろう人物が、自分の教室のドアで周りをキョロキョロしていた。

「あ、ユナー!行こー!!」

キョロキョロしていた人物は天馬。クラスが違う為、堂々と入れないのでドアの方から自分まで届くように大きな声で自分の愛称を叫ぶ。
あの後、河川敷には一年だけ向かう事になり、一緒に行こうとなったのだ。待ってくれるのは有り難いが、大きな声で名前を叫ばれる自分の身にもなってほしい。こうして呼ばれる事で、色々と誤解されやすいのだ。そう、例えば…

「お、彼氏さん登場だね♪」
「え?!」

今自分の後ろに居る環とか。
鞄を急いで持ち、天馬の方へと行こうとしたら環の誤解発言。その発言がドアの前に立っていた天馬にも聞こえてしまったらしく、こちらからでも分かる位に肩を大きく跳ね上がらせて耳まで真っ赤にさせていた。流石に今の発言は天馬に伝わったらしいが、こちらとしては不都合だ。ほら見てよ、クラスの皆がこっちを見て何やら話しをして…

『あーもー!!違うって!!』

と、若干大声で言ってしまったが、これで少しは誤解が解けたであろう。環はそんな悠那に少しだけ苦笑しながら「冗談冗談」と言い、先に部活へと行ってしまった。それを見て、悠那は早歩きでドアの前で自分を待っている天馬に近付いて行く。近付いたら近付いたで、自分を見るなり天馬の顔は赤を増していき、自分まで赤くなりそうだった。
その後に葵と信助が来て、一緒に河川敷へと向かう事になった。

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「松風天馬!」
「はい!」
「西園信助!」
「はい!」
「谷宮悠那!」
『はいっ』
「待ってたぞ」
『「「はい!」」』

着替えをなりべく早く済ませ、三人は円堂の前に並んで元気よく返事をした。サッカー界では有名な円堂、という事で天馬と信助は返事をする時に肩を上げて、緊張が入った返事をしていた。そんな二人を見ながら悠那は改めて円堂の偉大さを知った。一方円堂は相変わらずの笑顔を三人に向けていた。

「そんなに緊張するな!固くなってると怪我するぞ?」

円堂もそう言うが、それが逆効果でありやはり緊張を増していた。そんな二人を見た悠那は呆れながらも再び円堂の偉大さを知った。
何やかんやでまずは自分の良い所から伸ばす練習に入った。
ドリブルが得意な天馬はドリブルをしながらフィールドを往復。信助はヘディングの制度を上げる為、葵に手伝って貰い、悠那は円堂を相手にボールを奪う練習をしていた。

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