時は流れて昼休み。結局朝はH.Rに遅れて先生にこっ酷く叱られ、クラスメイトの笑い者になってしまった。怒られたのは天馬達も同じだったらしいが、悠那よりは酷くなかったらしく、悠那は天馬達のクラスメイトが良かったと感じた。まあ、そんな事はさておき、サッカーの練習だ。悠那は急いでグラウンドへと向かって行った。

「本当に好きなんだ…」

あまりの速さで教室から出た悠那を見た環は、呆気に捕らわれて唖然としながらも出た言葉がこれだった。クラスに居た人達もそれを感じていたらしく、苦笑していた。

「あ、ユナー!」
『お待たせー!』

グラウンドには既に天馬、信助、葵が来ており、悠那も急いで天馬達の元へと駆け寄った。
よく見ると、近くには知らない女の人(多分先輩の人)が立っており、悠那を見ていた。先輩に目を付けられてしまっただろうか…とは思ってみたが、よくよく思えば自分は天馬みたく目を付けられてる存在なので何も気にしなかった。そう思いながら走り寄れば、天馬からのパス。悠那は一旦走るのを止めて、そのボールを胸で受け止めた。

『いっくよー!』
「うわっと!ナイスパス!」
『You're welcome!どういたしまして!』

悠那は貰ったボールを直ぐに天馬の方に向かって蹴り上げた。蹴り上げられたボールは天馬の方に真っ直ぐ行き、天馬もまたそれを胸で受け止めた。そしてナイス!と悠那に向けて高く手を挙げた天馬はそのまま信助にパスを出した。
が、それは少し力が強かったのか、ボールは信助の遥か頭上へと飛んでいき、ジャンプをしても届かないくらいに行ってしまった。

「あ!」
『高すぎる!』
「入部するんだああー!!」

誰も取れないと思ったボール。だが、信助はそれでも取ろうと、皆が驚く程のジャンプ力で高く上がったボールと同じ高さぐらいまで跳んだ。上手く受け止めようとする信助。しかし、ボールは信助のお腹に当たってしまい、そのまま下へと落ちてしまった。あの高さから落ちた所為か、地面と衝突した信助は鈍い音を出しながらそのまま地面へ仰向けに倒れてしまった。天馬と悠那が心配そうに信助に近寄れば、普通に上半身を起こされ、「大丈夫」と言ってきた。どうやら体は小さくとも丈夫らしい。

「アイツも見所あんじゃん」

それを葵の隣で見ていた瀬戸水鳥は信助をまるで自分と天馬に向けていたような目で見ていた。なる程、あれは目を付けたと言っても悪い方では無いのか。

『惜しかったね、信助』
「あ、ありがとう!」

悠那は信助の前に手を差し出して立たせた。立たせて貰った信助は、お礼を言いながらまだまだ!と言わんばかりに首を振った。あれだけのジャンプ力を持ってまだまだとは、信助の理想は高い。まあ、ボールをちゃんと取れなかったからという意味も入っているとは思うが。

「続けよう、天馬、悠那!」
『そうだね』
「うん、頑張ろう!」

授業が始まる直前までやる。今日練習がこんなに力が入っているのは入部テストがあるから。自分も二人には負けていられない。信助の言葉に二人は頷き、直ぐに練習を開始させた。


prevnext


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -