今日はサッカー部入部希望者にとって大事な日!そう、入部テストがあるのだ。その事で朝から早く起きた天馬と悠那は学校へ行く前に、河川敷でサッカーの練習をしようと来ていた。周りにはまだ人が居なく、自分達しか居ない。目の前に咲いている桜はまだ散っていなく、まだ満開の姿で自分達を見守っていた。

『今日はどうする?』
「うーん…」

鞄をそこら辺に置き、天馬は石畳の上で時計を見ながら悠那の言葉に悩むように俯いた。白い石畳の所々に青と赤のタイルがあり、天馬はそれをドリブルの練習で使っていた。悠那はそれをカットしたり、たまに記録するなどの役割をしていた。お互いがお互いでこの河川敷で競い合っていたのだ。もう直ぐ6時半を差す時計。それを見て、天馬は青のタイルの近くに置いてあったサッカーボールを見た。

「よし、今日は青だ!」
『じゃあ、私は数えるね』
「うん、お願い!」

天馬の決断に悠那は天馬から離れ、秒針が12の数字に行くのを待った。カチッカチッと音を立てて秒針が徐々に12の数字に迫って行く。そして、カチッとピッタリ12を差した秒針を見て天馬がボールを蹴って走り出した。青と赤は左右交互に並べられているので、天馬は赤を踏まないよう気を付けて尚且つ青から離れないようにボールを走るスピードを落とさずにドリブルをしていく。そして、それを往復するので、悠那が時計の秒針を数えているのだ。

往復し終わった天馬は自分の居た位置に戻ると、高くボールを蹴り上げてベンチへと当てる。ベンチに当たったボールはぶつかった反動で天馬の方へ戻って行き、それを天馬が胸で受け止めて地面に置く。足で動こうとするボールを止めた天馬は悠那の方を向いた。終わりの合図だった。

「ゴール!どうだったユナ!?」
『今までの最後記録!』

ぐっ!と親指を立てて言えば、天馬は今までの記録を越した事が嬉しかったのか、やったー!と喜んでいた。今日はテストという事で天馬の集中力が今までより増していたのかもしれない。今日のテストは上手く行くのかもしれない、と悠那も感じた。すると、自分達の間に「おーい!」という声が。周りには自分達以外誰も居なかったので、多分その声掛けは自分達に掛けられた物だろう、と土手を見上げようとすれば今度は自分達の名前を呼んできた。
この声は、と二人が土手の方を見れば、自分達の予想していた人物と全く同じ人物だった。

「信助!」
『おはよー!』
「約束の時間30分も前なのにもう練習してたんだ!」

階段を小さいながらも走って下りてきた信助。何故こんな時間に信助が来ているのかというと、三人はここ河川敷で7時に練習すると約束をしていたのだ。今日がテスト、という事で天馬が提案を出したのだ。最初抵抗があった悠那だったが、二人のやる気を見て渋々自分も参加するという事になった。

信助の尊敬の言葉に、天馬は「うん!」と頷いた。天馬曰わくジッとしていられなかったそうだ。その言葉に信助も「僕もなんだあ!」と誇らしげに言った。案外この二人は似ているのかもしれない。

「頑張ろう!今日の入部テスト!」
「うん!」

今日の入部テストの為にやる気を出す二人がどうしても可愛く見え、悠那はまるで母のような温かい目を二人に向けていた。なので、自分は返事をするのを忘れていたので、信助に「悠那も!」とフって来てくれたので、ワンテンポ遅れながらもうんと頷いた。
練習を始めようと、信助は天馬と悠那の鞄が置いてある方へ自分の掛けていた鞄を放り投げた。折角の新品の鞄を投げたらアカンよ、とは思いつつ自分も先程信助と同じように投げていたので、何も言わなかった。

そして、三人揃った所で天馬達はボールの蹴り合いを始めた。

「実は入部テストって、二回目なんだよね。俺とユナは」
「本当?」
『うん、』

小学生の頃、サッカーチームのテストを受けた事はあったけど、落ちてしまったのだ。しかも自分達は二人だけ違う落ち方をした。悠那は信助にボールを回し、そう説明をした。その話しを聞いた信助は「今度は合格しよ!一緒に!」と何気ない応援をしてくれたので、天馬と悠那はうん!と返事をした。

それから暫く三人はテスト以外の話しをしながらパスを回して行った。が、経っていく時間を気にするのを忘れていた所為か、気付いた時には学校が始まる前の5分前で、急いで走って学校へと向かって行けば、チャイムが鳴ってしまった。

「授業が始まっちゃうー!」
『ヤバいヤバいー!』
「夢中になりすぎたー!」

走って校舎に向かって行く三人。運良く門は閉まっておらず、何とか中に入れたがH.Rには流石に間に合わないと感じた。チャイムが鳴った時点でヤバいが、これ以上遅れるともっとヤバいので、走りに走った。

…………
………


prevnext


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -