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小説書きさんにCP5の試練@noing

2014/02/20
1.「好き」「愛してる」を使わないでラブラブ
2.『よくも俺のものに手出したな…』という台詞を入れて小説
3.第三者から見た二人の仲直り
4.二人のどちらかがでてこない甘々小説
5.『何ということだ』で始まり『そして二人は甘い甘いキスをした』で終わる
配布元 : @milkmilk_odai

1.態度で、視線で、語られる : 妻夫木群青
「ぐんじょう」
今日も今日とて、この場所だけは平和だ。そんなことを思う。
「群青」
何故に自分は抱き着かれながら書類を片付ける羽目になっているのだろうかと、そんなことを思ってはみたものの、此処最近は日常と化してしまっている為に、やめるように諭すことは諦めてしまった。何より無駄に能力値が高いだけあって、自分に振られた仕事のみならず、他の役員がすべき仕事にまで手を回してしまっている。其れをあのバカ含む他の役員は気付いていない様子だが。
「ぐーんじょう」
返事をしなければ殊更に、重みが増していく。
「………紺」
「群青」
名前を呼べば浮かべられる笑みに、脱力した。全身で訴えかけられる感情に応えるべく笑みを返せば、見回り、いってきまーすという篠本の声が聞こえた。それに応じ、扉の開閉される音が聞こえなくなった途端、唇に噛み付かれた。

2.簡単な話 : 相賀暁
「よくも俺のものに手出したな…」
その日、珍しくも会長(ああ、もう、元会長だった)が怒っていた。今まで、何が起こっても怒る事はなかったその人が、
「―――紺」
俺の対応が悪かっただけだ。
風紀委員長がそう言ったところで、どうやら、彼の怒りはおさまらない様で。
(ああ、そうか)
彼も、好きな人のためには怒れるのだと分かった瞬間、別の事に気付いてしまった為に、ツキリ。と。心が刺されたような気がした。
(――――あ)
そのまま見続けている事が出来るはずもなく、本来行きたかった場所とは正反対の方へ、逃げるようにその場を後にした。どうしたってもう、彼に、自分から近付くことなどできはしない。関係を壊すきっかけを作ってしまったのは、自分の方なのだからと、必死に言い聞かせて。それでも。
(俺のもの、かあ)
もしかして、もしかしたら。そんなことは、ありえないとどこかで分かりながら。そんなことを、思ってしまった。

3.結局は : 篠本正
「ばーかばーか!」
「…馬鹿はお前の方だろう」
「群青のばかっ」
こうしてみていると、彼等も自分と同じ人なのだと思うことが出来る。いくら身体能力や学力が優れていたところで、こういった面では自分たちと変わりがないのだと。だからと言って、喧嘩を風紀室でやるのは、勘弁してほしい。今回は其れ程大事になりそうではない為に放置する方向でいこうと、他の風紀委員の面々とは先程、決めてはみたものの。
「同じことしか言ってない…」
「いつもの事です」
黙々と、書類を片付けながらそう返す。それにしても、設樂は聊か、風紀室に来すぎなのではないだろうか。そう思い始めた数日後、委員長から会長職を降りた彼を風紀委員にしたと告げられた。その時は僅かながら驚いた。まさか彼が、風紀委員に名を連ねるとは思ってもいなかった為に。一方で、後任の役員に仕事を指導しているらしい。まるで化け物の様だと、そんなことを思ってしまうのも仕方のない話だろう。
「篠本せんぱい……」
ヒートアップしてません?
「平気ですよ。そのうち委員長が設樂にキスしておしまいですから」
今回はそのパターンです。そう言い、彼等が風紀室で乱闘を始めないかと心配している彼等を、見回りという名目で室外へと送り出す。これでもし、乱闘になったとしても平気だろう。最も、今回はどちらも本気ではない。チラリと委員長に視線を向けられ、溜息と共に頷きを返せば、次の瞬間には二人の距離が縮まっていた。
「――――――群青の、バカ。好き。愛してる大好きだばかやろー!」
「はいはい。もうそれでいいから仕事させてくれ。夜相手してやる」
俺も紺のこと好きだし愛してる。
其れを聞いた瞬間満足げに微笑み、頷いた設楽を見て、きっと今回の喧嘩の発端は傍から見ればくだらない事だったのだろうとそんなことを思った。

4.理由なんてない : 設樂紺
節くれだった大きな手とか、ガタイが良いとか、顔が良いとか。まあ、あげればきりないんだけどさ。変なとこで融通きかないとか、でも結局全部ゆるしてくれるとことか、嫌いなとこもひっくるめて、全部好き。
にこやかにそう言えば、なんとも言えない表情をされた。委員長の何処が好きなんですかと、聞かれたから答えただけなのに失礼な奴だと思っていれば、溜息を吐かれる。
「……何」
「別に」
「別にって顔じゃない、それ」
気持ち悪いから言えと笑顔で強要すれば、篠本は簡単に口を割った。
「正直、アンタがアイツを落としてくれて良かったよ。今じゃアレも更生したようなもんだ」
なるほど、それが素か。そう言えば、にやりと笑われた。流石、かつては悪名をとどろかせていた群青の相方だっただけ、ある。そんなことを思っていれば、俺のこのキャラ、他の奴等にはナイショな?勿論妻夫木は知ってるけど。一応、イイ子ちゃんキャラで通してっからさ。バレるとめんどくせーし。
人の好い笑みをうかべてはいるものの、身に纏う空気は禍々しい物だった。が、常にこれを隠し演じているのであれば、誰もこの篠本が、あの篠本であるとは気付いてはいないだろう。否、気付けはしないだろう。
「篠本。お前ばれるぞ」
「いいんだよ、お前の彼氏様にはバラしといた方が後々面倒がなさそうだろ」
ケラケラと笑いながら、どこからともなく現れた群青に抱き着けば、その直前に惚気ごちそうさまでした。と、そう言われた。
(いったいいつ、俺が惚気た?)

5.いれかわりました : 設樂と妻夫木
「なんということだ」
「…………ほんとにな」
どうやら体の中身が入れ替わってしまったらしいが、それ自体は、大した問題ではない。
「どうしよう」
「……どうもこうも。普通に寝ればいいだろう」
設樂の言葉に、群青が答える。そうだけどと言い淀む設樂(しかしながら、外見は群青である為に、酷い違和感を生んでいた)を眺め、群青(外見は設樂になっているため、視点が常と異りすぎており、困惑気味ではあるものの、紺にはこんな風に自分が見えていたのかと若干ずれた事すら考えていた)は溜息を吐く。
「折角久しぶりに一緒にいられんのに」
「………待て。今まで散々一緒にいたよな?」
「二人きりじゃなかった」
「ああ、そう」
其れは確かにと思うものの、今や学園内でもほぼ一緒に過ごしている以上、久しぶりというのは、少しばかりおかしい。
「――――寝るぞ」
「群青はそれでいいんですか」
「いいけど」
まあ自分にキスやあれこれするって考えるとなんだか微妙な気もするけどでもとぶつぶつ言っている中身設樂の外見自分の彼の首元を掴み、群青は自分から彼に、キスをした。
「……群青」
「寝て起きればもとにもどってんだろ」
どうせ明日も明後日も休みだ。したいなら付き合ってやるから今日は寝ろ。とりあえず、寝ろ。とはいえ、外見が自分であっても中身が群青であることを理解している設樂は、群青からキスをしてもらえたという事実こそが重要であり、彼の入れ物は関係なかった。
「ちょ、お、…んぅ」
「変な感じ。でもいいや」
どっちにしても、群青だし。諦めた様に目を細められたのを見た設樂は、自分の顔を見下ろしながら、笑う。群青も群青で、笑っていた。
そして二人は甘い甘いキスをした。


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