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愛の正銘@
2013/03/13
監禁と自傷行為と他もろもろ。
ヤンデレを書こうとした結果。
ゆるいのにヤンデレで自傷行為したりする会計×基本面倒くさがりな内心どろどろ風紀委員長
多分続く。
目を覚ました瞬間、一瞬自分が何処にいるのかを思い出す事が、出来なかった。此処は何処だろうかと考えた後、漸く思い出す事が出来た。犯人こそ分からなかったものの、予測はついている。
転入生が来てからというもの会える時間が極端に減り、更にはほぼ自分一人で生徒会の仕事をこなさなくてはならなかった会計が、ついに爆発したんだろう。だからそう、犯人は会計だ。数年前から付き合っている愛しくも少しどころかかなり困ったことをする会計だ。
(―――――――めんどくせぇ)
そう思ってしまった自分を叱責し、厭に重たい体を持ち上げれば、手首には手枷が、足には足枷が着けられている。これは本格的に面倒な事になった。そう思いながらも、そうさせてしまう原因が自分にも在ったという事実は認めざるを得ない為に、深く深く、息を吐いた。
「あ。起きたぁ?」
にこにこと、邪気のない笑みを浮かべながら近付いてくるのは、予想した通り、生徒会会計である男で。俺をこのような状況下に置いた張本人だ。思い詰めて思い詰めて、爆発させてしまうコイツの性格を知っていたにも拘らず放置していた自分が全て悪いのだと思いかけて、曾て全てが自分の責任で悪いのは自分だけだとそう思い込んで叱られたことがあったことを思い出し、その思考はひとまず、頭の隅にでも置いておくことにした。後悔は何時でも出来る。
「気分、どぉ?」
「さいっこーにわりぃ…」
あはは、じゃねーよ。こちとらキレそうだ。そう思いながらも、眺めるだけに留めた。キレる前に、気にするべきことがある。目の前のヤツに、どこかおかしなところがないかと上から順番にみていけば、学園指定シャツの袖元が、赤く赤く、染まっていた。
「おい」
「はぁい?」
「こっちに来い」
「えぇ?」
枷を着けられている所為でうまく動かすことが出来ない自分の躰を忌々しく思いながら、ヤツの目を見据え言えば、やだよぉ。と、笑われる。
「いいから来い。来ないと、お前のこと嫌いに」
なる。と、言い終える前に、ヤツは傍に来ていた。
「ヤダヤダ嫌だ嫌いにならないでよヤダそれだけはダメ絶対ダメなんだからダメだよぉ?」
「はいはい」
解ってるっての。と、心の中で付け加えて、抱き締められ、抱きしめ返そうとすればまた、枷が邪魔をする。これくらいの枷なら、上手くやれば自分で外すことが出来るものの、それはしてはならない。何がどうあっても、コイツに、自分自身の手で外させなければならない。そうしなければ、今以上に面倒な事になる事は以前、既に経験済みだ。
「潤」
「………ヤダ」
「これ、外せ」
「イヤ」
「外してくれ」
じゃないと、手当、出来ないだろう。そう言えば、抱きしめられていた力が緩み、首元に顔を埋められていた為に感じていた温もりが、離れる。ゆるり。と、向けられた瞳は、昏く黒く、濡れていた。
同じ会話の流れの中で、嫌いになると繰り返せば、ただでさえ面倒なコイツは、更に面倒なことになる。それだけは、避けたかった。
(嗚呼、なんて馬鹿なんだ)
こんな犯罪者みたいなことをしなくとも、お前の言葉一つで、俺はお前の傍に来るというのに。お前の傍に居るというのに。
「潤」
「ぅあい、」
「外さなくてもいいから鎖を長くしろ」
「………、わかったぁ」
涙をボロボロと流しながら言った後、すぐにカチャカチャという音が聞こえ、暫くした後、長くしたよぉ。と、涙声で言われる。少しばかり自由になった手足を動かし、これなら暫くの間は問題ないだろうと、視線を向ければ、ヤツは眉尻を下げ情けない表情をしていた。
「潤」
「な、ぁにぃ?」
「救急箱、持って来い」
「これ、は、いいよぉ」
救急箱という言葉で、俺が何をしようとしているのか察したのか、手当を拒絶しようとしたヤツに近寄り、腕を取る。出血はおさまっているものの、このまま手当しないのも問題だ。取って来てもらえないのなら、自分で取りに行くしかない。ただ、コイツをこの場所に一人で残しておくことは出来なかった。