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061~065
2013/02/19
落としたハート/嘘吐き/
空飛ぶ鯨/夕飯シチュー/不安定
065:不安定
ぐるぐるぐるぐる、大切な物を落っことした。だけど探しに行こうと思わないあたり、本当は大切なものじゃなかったのかも。覚束ない足取りは不安定で耳から入ってくるのは不協和音ばかり。ぽろぽろ失くすモノ、みたいに自分の感情を喪ってたら、其れは多分、きっと。大変で取り返しがつかないこと、だ。
064:夕飯シチュー
今夜はシチューだって、ママが言ってました。
シチューの中にいるのは私。切り刻まれてぐちゃぐちゃにされてしまった、私。パパは食べてくれるのかな、ママはパパも×しちゃうのかな。ママは壊れちゃった。だけど仕方ないの、原因は私。もしかしたら戻るかも。って、思ったけどムリみたい。ごめんね、
063:空飛ぶ鯨
本当に見た。彼は呟いた。呟いて顔を上げた瞬間、彼の瞳から水滴が零れ落ちた。「信じるよ」気付けば、そう云っていた。信じてくれなくて、いい。と、力なく云われてもう一度同じ言葉を云う。「他の誰が信じなくても、僕は信じる」彼の肩は震えていた。視線を感じて顔を上げれば、鯨が空を飛んでいた。062:嘘吐き
死ぬときは一緒だって、笑って言っていたのに。どうしてどうして、先に逝ってしまったの。女々しいって、笑われるかな。だけどそれなら、それでいい。「明比!」忌々しい声。大嫌いな声。君の声が聞けないなら、君の姿が見えないなら。こんな場所、いる意味も、ない。だから、サヨナラ。大嫌いな、世界
061:落としたハート
ハートをおっことした。大事な大事なハートを落としたまま、見つけられない。大切だったはずのものを大切だと思う事が出来ない。思う振りをしてみてもそれはがらんどうではりぼてで、どうしようもなく僕は哀しくなる。それなら、いっそのこと。「…なあ、別れねぇ?」吐き出した言葉は、空々しかった。