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036~040

2012/07/29
ストーカーと/よくばり/見下す/気のせい/彼の跡

036:ストーカーと
不思議なことに今、俺の目の前にはいつも見ていたはずの相手がいた。ニコリ。と、一目惚れした笑みを浮かべられ、とりあえず、笑みを返した。「はじめまして、ストーカー」「は?」「いつごろから?」そう訊かれて、何故ばれているのかと思いながら見つめたものの、開き直って言葉を返した。

037:よくばり
大好きだというその言葉だけで十分だったのに、いつからこんなに欲張りになってしまったのだろう。どうしようも出来なくて、苦しいと思いながらも、別れだけは切り出せなかった。(同性なのに付き合ってくれてるだけで、奇跡的なんだから)

038:見下す
零れ落ちた涙を見ても、何も思わなかった。やけに静かすぎる目の前の子どもを見て、いつもの調子はどうしたのだろうかと思ってみたところで、結局どうでもいいか。という結論になる。俺にとって大切なあの子を傷つけたこの子供の事を、厭う事はあれど、その逆は絶対に有り得なかった。

039:気のせい
死にたくないけど死にたくて死ねないけど殺したくても殺せない。だからこれは夢だと思い込んだ。首に巻きついた手の感触も自分が触れている相手の首に、指が食い込む感触も。頬を伝う涙も頭上から降り注ぐ水滴も、全て夢だとそう思った。

040:彼の跡
(思い出しただけだ)夕暮れを見て泣きたくなった。ゲームをしよう。彼はそう言った。確かに、そう言っていた。一方的なそれを拒絶した僕は、今になって思う。あの時、彼の言葉を聞いてあのゲームをしていれば良かったと。今更そう思ったところで遅いことを知りながら、それでも(赤い、彼の―――)


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