*up data | ナノ


None/ ≫ up data+

011~015

2012/07/29
大きい声は出せません。/自分本位/末路/猫飼い/本心などわかりもしない

011:大きい声は出せません。
あ。やってしまった、と、思った時には僕は転入生の謝れオンパレードのマシンガントークの餌食になっていた。これじゃあ僕の小さな声、聴こえないじゃないか。仕方がないなあ、と思いながら隠し持っていたマイクを取り出し、スイッチを入れて謝罪したらその場に甲高い不愉快な音が鳴り響いた。ごめん。

012:自分本位
死にたい消えたいと喚く彼を見て、どうすべきだろう。と、考えた。解決策は思い浮かばない。自傷行為を繰り返す彼を止める術が、分からない。安っぽい愛なんて、彼は欲していない。だけど、オレは君を愛している。生きていれば良い事がある。なんて、綺麗ごと言わないけど、生きていて欲しいと思った。

013:末路
学生の時、俺が制裁される原因になった彼が犯罪者として報道されていた。彼等は、彼を好いていた人たちは誰も彼を止めなかったのだろうか。そんな事を考えてみたところで、答えは出なかった。携帯電話が鳴り響く。学生の頃の自分とは違う。そう思いながらも、これから起こる面倒を思うと溜息が零れた。

014:猫飼い
学校で猫を飼っている生徒がいるらしい。こんな場所だし他に飼ってる奴がいてもおかしくないのに、ソイツしか猫を飼っている者がいない。との噂。
「何」「君が、この学園で唯一猫を飼っている生徒だというのは本当?」
興味本位で聞いてしまった。答えは、イエス。そう言った彼の元に徐々に猫が―…

015:本心などわかりもしない
「先生、先生、ねぇ、先生。好き」
甘く、柔らかい声。嗚呼、でもこれは毒だ。この言葉に答えてしまえば最後、俺はきっと、教師でなくなり、ただの男に成り下がる。この気持ちに蓋をする以外の対策法など、思い浮かぶはずもない。だから答えないのだ。そして言う。
「馬鹿言ってないで、早く帰れよ」


copyright (c) 20100210~ km
all rights reserved.
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -