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一過性

2012/06/08
書記*風紀委員長

流行り病のようなものなのかもしれない。そんなことを思った。生徒会役員も誰も彼もが転入生に夢中になってしまうのは、アレがこの学園内にはいままでいなかったタイプの人間だったからなのか、本当の理由は分からないがおいそれと弱点を作ってしまってはダメだろう。否、ダメだ。
「しゅういち」
考えていれば、風紀室の扉が静かに開けられ、声をかけられた。入ってきたのは唯一転入生に落ちていない生徒会の書記であり、幼馴染の口下手な男は倒れそうな様子で、それでも書類を持ってきた様だった。こんな状態になっているというのに、コイツの仲間は何も、思わないのだろうかと考えたところで、きっと気付いてすらいないのだろうと思い直す。
「悠、少し休んでけ」
「………でも、」
「でもじゃねーよ。お前が倒れたら最後だろ」
「………ぅ」
一過性のモノがどこまで続くのか、分からない。それでも今、コイツが倒れたら間違いなく、学園は機能しなくなる。渋る書記の手を引き、抱き締めれば余程疲れていたのか、すぐに寝息が聴こえてきた。椅子が少し軋んでいるが、まあ、どうにかなるだろう。さすがに一人用の椅子に二人はきつかったかと思ったものの、今更遅い。というか、渋りながらも机を超えて俺の傍に来た時点で、コイツは少し休むことを決めていたんだろう。きっと。コイツが安心して眠れるの、俺の傍でだけだし。
「いーんちょ……え!?書記様!?」
「るせーよ。声落とせ」
「………す、すみません!でも…え?」
「あー…言ってなかったか。俺とコイツ、付き合ってる」
再度うるさくなりそうな、たった今風紀室に入ってきた風紀委員の口を、空気の読める別のヤツが塞いだ。
「………書記様が転入生に落ちなかったのって」
「あ?コイツがあんなちゃらんぽらんに落ちるわけねーだろ」
落ち着いた頃にそう言われ、普通に返せば呆気にとられた顔をされた。そんなに意外か。そろそろ付き合って四年近くになるんだが。と、思っていればどうやら別の事が気になっていたらしい。
「ちなみに、委員長は……」
下だが。と、答えればものすごく微妙な顔をされた。


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