*up data | ナノ


None/ ≫ up data+

小ネタ006~010

2014/03/20
やわらなかうすい膜(非王道)
贄のギシキ
肝試し
二色ボールペン擬人化ネタ
昼の坂道指輪が決める、

≪やわらかなうすい膜≫
好きですよ。その言葉は、嘘だとすぐに分かってしまった。そうか。と、返せばえぇ。と、目の前にいる男は返してくる。誰もがこの男の周りに薄い柔らかい膜の様な壁が存在していることに、気付かない。それこそ、一部の生徒に好かれている転入生ですら。過去に数回、其れに気付き指摘した者は変えられて自主退学していった。怖い男だ。本当に。何故、風紀委員長を任されたのかが良く分かる。誰もが手を焼いている不良クラスの人達にすら、一目置かれているその理由は、彼が夜の街に繰り出し名を知られているからではない。もっと別の理由がある。
「―――ひどいですね」
「何がだ」
手元の書類は溜まって行く一方で、期日の迫っているものから片付け、なんとか間に合わせている。
「信じてくださらないのですか?」
「―――、そうだな」
学園内で仲が悪いと認識されている生徒会長である俺と、風紀委員長であるこの男が一緒にいるところをみられたら、間違いなく騒がれるだろう。そんなことすら考えながら、今まで下におろしていた視線をあげた。

≪贄のギシキ≫
なんて、忌わしい名前だろう。村人は少年なには冷たく、実の両親ですらまるで腫れ物を扱うかのように。産み落としてからというもの、一度も少年に触れようとはしなかった。だからか。少年は異様に精神が発達してしまった。知らなくていい事を知り、分からなくていい事まで分かってしまう。何より少年は死を内包していた。生きながらにして、死んでいた。
【柩】
その名をつけられた者はその瞬間から、ヒトではない別のイキモノに換わってしまう。少年の名付け親は知らなかったかもしれないが。しかし。少年が思わずその名をつけてしまわせる何かを持っていたのも、また。事実のうちだった。

≪肝試し≫
表札はあるものの、人が住んでいるかいないかは、わからない。鬱蒼と茂る緑をかきわけて、家の扉へ辿り着いた。心臓がうるさい。扉に手をかけ、横に引いた。鍵は、かかっていなかった。誰だ。奥から声がした。答えようとしても、声が出ない。心臓がうるさい。そのまま、玄関をあがって、廊下を進んだ。突き当たりの奥の部屋、襖が開いた、その先に、畳の上に、男がいた。誰だ。口も開いてないのに、声が聞こえてくる。怖い。だけど、それよりも綺麗だと思った。何の用だ。そういえば、彼の質問に答えられてない。
「こたろう。肝試しに、きた、」
その後は、続けられなかった。彼の瞳は、赤かった。

≪二色ボールペン擬人化ネタ≫
黒が赤を好きになって暫くのうちは幸せ。→そのうち黒の年齢が退行=幼稚化→赤が黒を好きになりすぎて狂っていく→黒は目覚めると赤に「だあれ?」と聞く様になる→赤悶々とするものの事実を言えず、幼稚化してく黒を止める事も出来ない→ついに黒が居なくなってしまう→あたらしい黒が来た時最初から赤は黒に好きとか愛してるとか言いまくる→やっぱり黒は幼稚化→赤も退行しながら黒に好きとか愛してるとか言い続ける→黒いつの間にか赤を好きになる→ある日唐突に自分が前の黒の身代わりだと知ってしまう→その頃には赤の退行も進んでる→ただし黒への執着心は変わらず→「おれにしろよ」と言う黒→前の黒を思い出せない赤→そうこうしているうちに両方とも退行が進む→ただし互いが互いを思いあったまま幼稚化→なんちゃってはっぴーえんど(?)

≪昼の坂道指輪が決める、≫
昼の坂道、呼びとめられて振り返れば、指輪が差し出されていた。捨てたはずのソレが、錆びれていたはずのソレが。誰かの掌にのっていた。太陽の光の影響か、光っていた。酷く、眩しい。持っている者の顔が見えない。けれどそれが誰なのか、知っている気がした。
「決めてほしいんだ」
笑いながら言われた言葉に、くらり。と、まるで現実と夢の境目にいるような錯覚に陥る。確かに好きだったはずの想いは色褪せて、約束を交わした時のままでは、居られなくなってしまった。待っていてほしいと言われ、その言葉のままに待ち続け、相手が結婚したという噂を聞いた先日、漸く捨てる事が出来た其れを、持って言葉に、くらり。と、まるで現実と夢の境目にいるような錯覚に陥る。確かに好きだったはずの想いは色褪せて、約束を交わした時のままでは、居られなくなってしまった。待っていてほしいと言われ、その言葉のままに待ち続け、相手が結婚したという噂を聞いた先日、漸く捨てる事が出来た其れを、持ってしたらいいのか。なんて、分かるはずもなかった。いつも自由気まま、自分勝手に振る舞っていたヤツの事を好きになってしまった自分が悪いのかもしれない。だけど、それでも。
「―――待ってたけど、もう、やめた」
漸く、其れだけを吐き出した。
「そっか」
相手が笑った気配を感じた瞬間、強い風を感じアスファルトを踏みつければ、すぐ傍をトラックが横切って行った。じゃあ、連れてはいかない。と、最後に聞こえてきた声は、確かに、アイツのもので。その日の夜、アイツが結婚なんかしてなくて、何年か前に病床に臥して命を失っていた事を知ったのだった。


copyright (c) 20100210~ km
all rights reserved.
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -