手探りですが。

やっと見つけた。審神者部屋。一周まわってないと思ったら、まだ行っていない廊下があったらしい。広すぎて来た道も忘れるわ。

ソファの前に脚の短い四角のテーブル。ドーンと奥に広がる大きい机、椅子。これ社長が座る椅子だ。座るだけで気分がよくなるやつ。広いし、色々置けそう。きちんと俺の荷物も届いてるし。

ただ、ちょっと臭い。イカ?イカ臭いかも。

窓も扉もついでに押し入れも開けた。

…ん?押し入れの中に大きいものが入ってる。この部屋も電気切れてるようで、押し入れの中は真っ暗だ。

手を突っ込んで真っ先に掴んだものを引っ張り出す。


目が合った。そう、目が合ったんだ。

「っ…」

なんでこんなところに子どもがいるんだよ。

掴んだのは子どもの腕だった。

押し入れの中に隠れてたのか。そうか、かくれんぼ。なるほどなるほど。広いもんなここ。んで、知らない俺に見つかって悔しいから睨んでるんだな。

「見つけた。」

俺もふざけてみた。みーつけた、って言おうとしたけど気持ち悪がれるかなって思ってやめた。

「殺す…!」

いや、ごめんて。そんなに命かけてかくれんぼしてたなんて知らなかったんだ。まぁまぁ、そう怒らずにさ。俺が君を見つけたことは

「見逃す」 から、命だけはご勘弁をー。

「…は、?」

「次やったら命はない」 んだろうなぁ。怖い怖い。無闇に押し入れなんぞ開けるもんじゃない。

顔を下に向けた男の子。視線の先…あ、腕掴んだままだった。ごめんね。そろそろここの掃除しないと埃を吸いながら寝るハメになる。

手を離して掃除に取り掛かった。

「鍵。」

机の引き出しの中から鍵が見つかった。これはどこの鍵か短パン少年に聞こうとしたら勢い余って手から鍵が少年の方に飛んでしまった。

「…これ、」

ナイスキャッチ少年。鍵と俺を交互に見ている。そりゃ驚くよな。ついでに開けてきてほしいという願いを込めて頷いた。

少年は鍵を落とさないように強く握りしめて走って出ていった。

そんな急がなくても大丈夫だよ。

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