時短飯ですが。

「来るなと言ったはずだ…!」

そいつが入ってこようとした時、骨喰が俺に隠すように移動させた。そうやられるとすごく気になる。

ゆらっと揺れた黒髪のポニーテール。あれ、女の子?全然見せてくれない。

「兄弟に、近づくなっ!」

兄弟愛が強いらしい。

そんな事言われても。…参ったな。扉のところに立ってるんだからここから出られないじゃないか。

何を言っても聞かなそうだし、心の中でごめんと謝りながら横を通る。晴れ晴れとした天気だった。

振り向くとまだ骨喰が俺を見ていた。骨喰の後ろから少しだけ顔を覗かせて俺を伺っている兄弟とやら。バッチリ目が合ってすぐ隠れた。

腹減ったから飯作るけど君達も来る?なんて言えない雰囲気だよな…気にしないで置いていこう。






なぜついてきた。

ピカピカになった台所に立って骨喰達は入口のところに突っ立ってる。

俺こいつらの考えてることわからない。さっきまで遠ざけようとしてなかった?次は自ら来るの?というか、骨喰は俺を殺すとか物騒なこと言ってなかった?

「……。」

えぇい!もう考えたら負けだ。こいつらの分の飯も作ろう。

俺特製具沢山味噌汁だ。冷蔵庫の中に入っていた野菜全部入れてやった。腐ってると思ってんだが、どれもみんな採れたてのように新鮮だった。

…ただ、炊飯器がないのは不便だ。

「座れ」 よ、はやく!冷めるだろ。

びゅん、と光の速さで席に着いたポニーテール。骨喰が困ってる。なるほど、飯の匂いに釣られたか。箸と一緒に渡すと俺の顔を見上げた。

一向に食べ始める気配がない。腹減ってなかったなら無理して食わせる訳にもいかない。だがしかし俺は食う。

ポニーテールの隣の席に同じように箸と味噌汁を置いて、俺はポニーテールの向かいに座った。すごく視線は感じるが気にせずばくばく食べた。

さすが俺、美味い。


ちら、とポニーテールの様子を見ると恐る恐るお茶碗に口をつけ、傾けていた。そんな不味そうな見た目はしていないと思うんだけど…


「っ、」

「兄弟…」

突然ポニーテールが泣き出した。箸を持った手の甲で目を擦り、静かに泣いている。骨喰が近くに寄って背中を摩った。

…泣くほど美味いって俺すげぇの作っちまった。

「美味いか。」

嬉しすぎて質問したのに対し、ポニーテールは何度も大きく縦に頷いた。めちゃくちゃ嬉しい。


泣くのは構わないが、鼻水まで出すのはやめてほしいものだ。

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