ボクは死にたかったのです。

ヒトに助けを求めた。痛いかって言われて、正直に話した。ずっとずっと痛かった。

「可哀想に。」

それなのに突き放すような言葉。審神者が湯船から出た。手遅れだったのかな。ボクが汚いから、離れた。もう、ヒトは、

「助けてくれないの、?」

終わった、と思った。こんなことになるなら、折られた方がマシだ。

横目でボクを見て、軽々とボクを持ち上げた。抵抗する気も起きなくてされるがままになっていたら、風呂の椅子に座らされた。

鏡に映った汚い自分。目を逸らそうとする前に審神者が手ぬぐいをボクに渡した。

「身体を洗え。」

「…え?」

淡々と準備し、風呂場を出て行った審神者。未だに頭が追いつかない。わからない。身体を清めて、それから…?

震える身体に鞭を打つように力いっぱい全身を擦った。



皮膚が赤くなり血が出てきた。もうこれでいいや、と思って風呂場を出る。丁度その時、脱衣所の扉が開いた。

うそだ、なんで審神者が。

その眼にボクの姿を映してほしくなくて、咄嗟に身を縮める。

「見ないでっ…!」

こわい、こわい。いやだ、みないで。

「綺麗になったか。」

何も見ていなかったような素振りで言った。そんな訳ない。

「わ、かんない…汚い、です僕…」

「綺麗になったな。」

そんなわけないよ、なんで惑わすような嘘をつくの。やめてよ。ボク、ボクは…!

「っなってないです!何度、洗っても、ダメなんです…ボク自身がもう穢れてて…」

これまで何度も死んでしまいたいと思った。それでもヒトは殺してくれなかった。

このヒトならボクなんかをすぐ殺せる。こんな汚いボク、早く折って。

「痛かっただろ。」

「痛くない。これくらい、」

ふわっと何かが覆い被さった。慣れない手つきでボクの頭を掻き回すこのヒト。そこから暖かい気が体内を循環していく。擦りすぎて痛くなった皮膚が、溜め込んで腐った心の奥がじわじわと浄化されていった。

「風邪引くから服着ろ。」

あぁもう酷い。貴方のその行動に涙が出そうです。

「はいっ…ありがとうございます。」

このヒトが人間だと思えない。ボクは最低だ。考えが浅はかだったのかもしれない。

貴方についていきたい。貴方を、この審神者を信じたい。

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