双子

ついさっきまで鬼龍達が踊っていた曲が頭から離れず鼻歌で繰り返している。

「気に入ったのか?その曲。」

声のした方を見ると蓮巳が眼鏡を取ってタオルで汗を拭いていた。眼鏡なくてもイケメンだな。

「あぁ。すげぇ好き。」

「…!!」

「ふはっ、なんで顔紅くなるんだよ神崎くん。」

照れる要素はないんだけどなぁ。

「え、いや、何でもない。」

可愛い。

「玲吾が俺らの歌を好きって言ってくれんのは嬉しい。」

「そうなの?皆から愛される曲だよ。」

歌を口ずさみながら踊りを思い出して鏡の前で踊ってみる。

「今日初めてお披露目したんだけどな。」

「ここまで踊られると悔しいもんだ。」

聞こえてるんだか聞こえていないんだか。

「はいはーい、休憩終わり!どんどん身体動かそうぜ!」

鏡越しで三人を見た。

「あ!そこのすてっぷ教えていただきたい。」

「おーいいぞ。」

明日筋肉痛になりそう。




三人と別れてから学校内をぷらぷら歩いていた。

「どこ行こっかなー。」

全然予定立ててなかった。帰るっていう手もあるけど。

「あっれー?あんた誰ー?」

「兄貴!先輩だよっ!」


「…お?」

遠くから見てもわかる。双子だ。珍しいねー。二人は俺の方へと近寄ってきた。

「初めてまして、かな?」

ネクタイが赤ってことは…一年生。

「はじめまして!俺は葵ひなた!」

「葵ゆうたです!」

「ひなたくんにゆうたくん。よし、覚えた。」

二人の頭を撫でると嬉しそうな顔をする。

「俺らを間違ったらダメだよ!」

「はいはい、大丈夫。」

後輩って可愛いよな。癒される。

「あのっ、貴方の名前は…?」

「んー?」

やっぱり聞いてきたか双子くんよ。



「…俺のこと知りたい?」

二人は目を見開いた。

「知りたい、です…」

「俺もー!」

純粋な目、嫌いじゃない。むしろ好き。

「知らなくてもいいよ。」

なんとなく。


「朔間先輩に聞いたらわかるかな?!」

「…あらら?」

純粋な心、恐るべし。

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