久々

「…本当に行くの?」

「そうだよ!」

「わ、引っ張りすぎ!」

ひなたくんに腕を引っ張られながら歩いてる。俺の隣でゆうたくんが心配してくれた。

「楽しそうだね二人とも。」

「だって、こういうのって楽しいじゃん!」

くるっと振り返って眩しい笑顔を見せる。

「…ふ、そうか。ならよかった。」

「もう、兄貴ったら…」

呆れた顔をしてるけどさぁ。

「ゆうたくんも、だろ?」

「…!!」

頬が紅くなって言葉が詰まってた。

「あれ、図星だったかな?」

小さく笑うともっと紅くなる。

「ッもう、酷いですよー…」

走りながら腰辺りに力のないパンチを食らった。

「ははっ、ごめんな。」

怒ってませんって言ってるけどその言い方完全に怒ってるじゃん。本当、可愛い。



「朔間先輩ー!!起きてますかー?!」

バーンッと扉を開く。だから扉さんがかわいそうだって…

「……。」

返事がないな、と思って周りを見渡すと誰一人としていなかった。薄暗い。まぁ、なんつーか…

「この棺桶の中か?」

場所は特定できる。

棺桶の前にしゃがんでトントンと叩いてみる。反応なし。

「俺が開けんの?」

二人は後ずさりしながら縦に頷いた。まじで?

「…おーい。俺が来たっていうのに篭ったままかよー。」

勢いよく蓋が開く。

「おあっ…」

ふわっとそいつの匂いがした。


「ッ玲吾くん…」

桶から飛び出してきて俺は尻もちをついたがしっかりとそいつを受け止める。抱きしめる力が強くねぇか?

「…え、え?」

「えぇぇええ?!」

「あー、ちょっと苦しいぞ。」

「本当に玲吾くんか…?」

「そりゃあな。ほれ、ちゃんと顔見て。」

両手で頬を包んで目を合わせる。驚いた表情だったがすぐに微笑んだ。

「玲吾くん、だ。」

「うん、そうだよ。」

俺の手を掴んで自ら擦り寄ってきた。

「くくくっ、会いたかったぞ。」

「嘘っぽいなぁ。」

「む。嘘ではない。」

指で頬を撫でれば嬉しそうに口元が緩む。

「…零。」



「なっ、な、ななな、なにしてんだよお前ら!!」

聞き覚えのない声が扉の方から聞こえた。

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