また、会ったね

衣更真緒side


「…おい、衣更。ボーッとしてるぞ。」

いきなり北斗に肩を掴まれ少し震えた。

「サリーどうしたのさ!」

「聞く限りだと一日中そんな感じだったらしいじゃん!」

そんなにか?

「生徒会ないから合わせたいって言ったのはお前なんだぞ。」

「…すまん。」

正直ずっと海崎玲吾のことが頭から離れなかった。三年って言ってたけど見たことない。やっぱり部外者が入ってきてたのか?

いや、ここの警備は徹底的に行ってるし…ますますわからなくなってきた。

「…なぁ。」

"海崎玲吾ってやつ、知ってるか?"

「なんでもない。」

その言葉が出なかった。

「やっぱり変だよ!」

「今日は早く帰った方がいいんじゃない?」

「待って!切り替えしなかった俺が悪い!!やろう!!」

迷惑かけられない。集中しよう。音楽をかけようとした時突然ガチャ、と扉が開いた。



「…あれ、ここ紅月が練習してるとこ?」

俺は目を疑った。

「海崎玲吾ッ?!」

つい大きな声で名前を叫んでしまった。

「お、衣更くんだ。」

やっほー、と言いながら手を振る海崎玲吾。

「せ、制服着てる!?」

制服を着崩して緑色のネクタイも緩く結んでる。

「そりゃあ生徒だからねぇ。」



「…!」

ははっ、と笑う姿がなんか…

「普通科の人がなんでここに?」

北斗が不思議そうに見ていた。

「あ、実は…」

「ちょっと用事があってね。許可は取ってるから安心して。」

…は?

「ネクタイが緑だから…先輩ですか?」

「そうだよ。…君たちは?」

待て待て。

「Trickstarっていうユニットだ。」

「Trickstar?」

首を傾げていた。なんで誤魔化してんだ?

「ごめんな、わかんない。後で踊って見せて。」

俺の頭に手が置かれた。

「え、な、なんだよ。」

考え事してて話全然聞いてなかったし予想外の行動で驚く。

「衣更くんも歌って踊ってるんだろ?見るのが楽しみだなぁ。」

俺の顔を見て笑った。


…あれ?


「んじゃあ俺行くね。また何処かで会おう。」

ポンポンと頭を撫でた後、扉を開けて出て行った。

「サリーって普通科にも知り合いいるんだー。」

「…ん?あ、あぁ、まぁな。」


俺しか知らないっていう、優越感がなぜか芽生えてしまった。




衣更真緒side終

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