甘えんぼさん

「玲吾か…?」

「俺は一人しかいねぇよ。」

目を見開いてる鬼龍に向けて変な言葉を投げかける。机の上に座って鬼龍を手招きした。

「…顔見ないから心配してた。」

力なく笑う。

「いつものことだろ?死ぬわけじゃないんだから…ッおわっ…」

鬼龍に腕を引っ張られそのまま抱きしめられた。

「…あー、ごめんごめん。」

背中に手を回しポンポンと叩く。心情察したよ。謝るしかないね。

「…玲吾。」

「なにー?」

鬼龍は俺と目を合わせ俺の頬に手を添えた。

「…紅月、明日来いよ。」

「練習付き添えばいいんだよな?」

「あぁ。」

顔がだんたん近づいてきている。


「…キスしようとしてんの?」

残り数センチってところで声をかけた。

「駄目か?」

「鬼龍も物好きだな。」

「違う。お前はすげぇやつだよ。」

「…ん。」

俺がいるかを確かめるように一回だけ。

「ふはっ、面白っ!」

思わず吹いてしまった。

「…む。」

「拗ねんなって!」

「拗ねてない。」

「へぇ…?」

ニヤニヤしながら鬼龍を見た。

「っ帰るぞ、一緒に。」

「おー!」



──────────



蓮巳敬人side


「…なにやら機嫌がいいな。」

朝、鬼龍を見かけたらいつもより気分がいいように見えた。

「…まぁな。」

誤魔化しやがった。

「いいことがあったのか?」

そう言うと鬼龍の口角が上がった。

「今日も多分いいことあるぞ。」

「は?」

何を言ってるんだこいつは。鬼龍がこんなあからさまに喜ぶことは…裁縫関係か、妹のことか。もしくは、

「…玲吾のこと。」

鬼龍が一瞬表情が変わった。

「当たりか?」

「…さぁな。」

…なるほど。玲吾と会えたのか。正直羨ましいものだ。一刻も早く俺も会いたい。

「玲吾って、三年の奴らしか知られてないみたいだが、それでいいのだろうか。」

「後に知られるだろ、あんな珍しい奴。」

「…そうだな。」

英智も会いたがっているっていうのに全然姿を現さない。昨日鬼龍と会ったのならそろそろユニット徘徊するだろう。

…楽しみだ。




蓮巳敬人side終

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