なんか不満があるようです

仁兎なずなside


玲吾の出るドラマが始まって何週間か経った。喧嘩シーンも感動シーンも全て上手くて。やっぱり視聴率もよく、人気があるドラマとしてバラエティ番組や歌番組にも玲吾が出るようになった。

橘颯太っていうヤツと一緒に。

「昨日テレビで海崎先輩見ました!」

「見たでござるっ!」

「また二人仲良く出てたなー…」

今日は放送委員のマコちんとしのぶんが集まって今度の放送について話し合っていた。そしたらなぜか玲吾の話になっていった。

「いやー、玲吾が見れることは嬉しいんだけど…」

ずるい、って思う。

「皆、毎回毎回不機嫌になるんら!」

少なからず俺ら三年は『いつか玲吾とテレビで共演したい』って思っている。俺だってRa*bitsで玲吾と一緒にロケ、とかしてみたい。

それなのに全部あいつが先取りしてる。

「確かに…嬉しいんだけど、もやもやする感じ。」

「もやもや…」

マコちんもしのぶんもどこかで引っかかってるみたい。

最近玲吾に会わないし、なんか嫌だ。




仁兎なずなside終
──────────





「颯太さん、おはようございます。」

「!おはよう!…ご、ございます!」

スタジオの廊下で少し前を歩いていた颯太さんを見つけ小走りで近づいた。いつもバッと俺を見て笑顔で挨拶してくれる。

「敬語とってもいいですよ。」

まぁ明らかに苦手だよね。

「えっ?!いいの?!」

驚いている様子だった。もうほぼ毎日会ってる同然だし。

「遠慮なくどうぞ。」

「うん、じゃあ!!遠慮なく!」

嬉しそうに笑う颯太さん。明るい人だなぁとしみじみ思った。

「玲吾くんも敬語なしで!」

「え。」

「決定な!それと、俺のことは呼び捨て!」

たんたんと話を進めていく。なぜそんなにテンションが上がっているのか。別に俺はそんなつもりじゃ…でもすげぇ嬉しそう。


「…颯太?」

試しに呼んでみる。

「っえ…」

動きがピタッと止まって変なポーズのまま俺を見た。なんか作業してる途中で止まるな。

「やっぱり馴れ馴れしかった?」

「えっ、違う!!急に呼ばれたから…びっくりした、だけ…」

今度は頬を掻きながら目を逸らす。面白い。


「玲吾…」

耳を澄まさなければ聞こえないほどの声だった。

「ん?」

「き、聞こえてた?!」

「ばっちり。」

うわあああ…と何故か何故か唸っていたが、その後はお互い敬語なし名前呼び捨てになった。明日も一緒に雑誌撮影がある。

…落ち着いたら皆に会おうかな。

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