危ない危ない

仙石忍side


こんなに腫れ上がっているなら絶対痛いはずなのに気づけなかった。悔しい。せめて少しでも役に立ちたくて。

「ごめんなさいでござる…」

「…仙石くんは何も悪くない。なんで謝る?」

恐る恐る顔を上げてみる。玲吾殿は顔を近づけていて思いのほか近く、顔に熱が集まった。

「早く気づいていれば何かできていたかも…」

玲吾殿は目を見開いている。

「…そっか。」

顔を遠ざけてうーんと唸った。

「め、迷惑でござるよね。」

今思えばお節介な事してる。

「仙石くん、ちょっと立って。」

「…?」

訳もわからず言われた通りに立つ。

「っわぁ…!?」

腕を引っ張られ玲吾殿の方に倒れてしまった。玲吾殿も後ろに倒れるから拙者は玲吾殿に乗ってるように…

「…っえぇ?!玲吾殿っ?!」

拙者の背中に手を回してきた。腕の中にすっぽりと収まって玲吾殿の顔が見えない。

ど、どうしたんでござるか?!なっ?!えっ、せ、拙者、謝らなければ…!!

「あ、あの…!」

「…ごめん。」

「え…?」





仙石忍side終
_________




「え…?」

小さく声が聞こえた。仙石くんの背中をポンポンと撫でる。何て言えばいいんだろ。

「…嬉しくて、な。」

柄にもなくはしゃいでしまった。

「嬉しい?」

俺の胸んとこにある仙石くんの顔が上がる。

「うん。俺のこと考えてくれてんだなって。」

下を向くと頬が赤く染まっている仙石くんと目が合った。

「あ、当たり前でござるよ…っ!!」

のそっとよじ登って俺の顔の目の前まで来た。

「…仙石くん?」

無意識?それとも計算してんの?

「せ、拙者は…玲吾殿に何かあったら、心配になるでござるよ…」

例え小さなことでも。そう聞こえた。

真っ直ぐ俺の目を見て揺るがない。

「…左目が見えそうだよ。」

そっと前髪に触れる。ビクッと肩が震えた。

「ッ…玲吾殿…」

相変わらず頬が熱い。前髪を退かし仙石くんの両眼が俺を写す。そのまま手を頬にそこから後頭部に滑らせた。ゆっくりと引き寄せる。仙石くんは、ぎゅっと目を瞑った。

唇が触れそうな距離に…


「…何やってんだお前ら。」

「ッうわぁぁぁあああああああっ?!」

「おぉ…?!」

仙石くんは瞬時に俺の上から退いて距離を取った。さすが忍者。速い。

「ごめんなさいでござるううう!!」

「え、ちょっ…顔上げて…!俺が悪いから!!」

土下座して謝る仙石くんと無理やり顔を上げさせる俺。

「茶番は他でやれ。」

すごくいい所だったのに!!佐賀美先生のばか!!

prev / back / next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -