あれ、これは、無理

仙石忍side


「…忙しいのかな?」

あの人が足早に帰って行ったことを不思議に思った玲吾殿。それは仕方ないけど…

一瞬拙者を睨んだように見えたでござるよ

「怖かった…」

「え?」

思わず口に出していた。

「えと…なんでもないでござる!!」

「そっか。…今から学校戻る?」

玲吾殿はジッと拙者を見て諦めたように言葉を繋げた。

「はいっ!」

「一緒にいこう。」

玲吾殿からのお誘い。ただただ嬉しいでござる。

「嬉しそうだね。」

拙者を見て笑ってる。

「えっ?!」

「すんごい笑顔だよ。」

体温が一気に急上昇した気がした。かっ、顔に出てたなんて…

「…仙石くん。」

「は、はいぃっ!!」

拙者の方に手が伸びてきた。

「…っ」

「ん。取れた。」

玲吾殿の手が拙者の髪に触れる。意識すればするほど…

「ありがとうでござる…」

あぁもう、顔見れない。

「髪さらっさら。」

時々耳に手が触れる。恥ずかしいけど、もっと…触ってほしいと思う、し…なんか今日拙者…変でござる!!

「な、何か用事があるのでござるかっ?!」

「保健室にな。」

「…え?」

保健室?





仙石忍side終
_________





「な、なんで保健室に…」

どこか不安そうな声が聞こえた。保健室に入ると佐賀美先生は不在だった。

「足を少し捻っただけだよ。…あ、そこに湿布取ってくれない?」

ベッドに座って靴を脱ぎ裾を巻く仕上げる。赤く腫れ上がってる。

「はい…って結構腫れてるでござるよ!それ!!」

「大丈夫だろー。」

「ダメ!!」

慌てて俺の前にしゃがんで足をジッと見てた。

「そんなに見られてたらやりづらいんだけど。」

「拙者がやるでござる!」

「え。」

俺の言葉を無視してせっせと湿布を貼っていた。

「痛いでござるか?」

「え、いや、大丈夫。」

優しく丁寧に手当てをしてくれた。少し下手だけど。仙石くんの頑張る姿を間近で見れて嬉しいかな。

「ありがとう。」

「……。」

テーピングも終わったのに仙石くんは俯いたまま動かない。

「…仙石くん?」

「気づけなかったのが、悔しい…でござる…」

俺の膝にコツンと額をつけた。

…うわ…これは、やばい、かも。

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