バレちまった

?side


「なんで俺の名前、知ってんの?」

この方が海崎玲吾さま…

「少し会長さまから貴方のことをおっしゃっていたんです。」

わたくしがfineに入って何週間か経った頃。会長さまがふと口にした言葉。

『玲吾…』

その表情はどこか切なげで。誰かもわからず尋ねてみると会長さまは笑ってごまかした。

『海崎玲吾はね、一生手に入らないんだよ。』

それ以上何も言わずただただ空を見つめていて。海崎玲吾という方に興味をもった。周りに聞いても笑うだけ。


「…お会いできて嬉しいです。」

本当に。

「弓弦?」

坊ちゃまが不思議そうに海崎さまの影から覗く。

「弓弦、っていうの?」

「はい。伏見弓弦と申します。」

「伏見くん、か。」

わたくしの名前を呼んで小さく笑った。

…なるほど。


「海崎さま。坊ちゃまを説得してはくれませんか?」

海崎さまの後ろに隠れている坊ちゃまを見た。

「姫宮くんはなんで逃げてるの。」

「いーいーかーらー!あいつから逃げるのー!!」

坊ちゃま…また周りの方に迷惑をかけて。

「歯医者の方が既に来ていらしているんですよ…」

「虫歯?」

「えぇ、昨日発見いたしました。」

「なんだよそんなことか。はい。」

ひょいっと坊ちゃまを抱きかかえ、わたくしのところにもって来た。

「ちょ、はぁ?!覚えてろぉおお!!」

感謝、ですね。




伏見弓弦side終
________





「よろしくお願いします。」

いつもより大きめな声でスタジオ入りした。3日の忙しい学校生活が終わり、とうとうドラマ撮影が始まる。

「お!海崎くん久しぶり!」

「お久しぶりです、監督。」

「君の演技には驚いたよー。また見れると思ったら、わくわくするなぁ。」

「ありがとうございます、精一杯やらせていただきます。」

軽く握手を交わす。遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえてその元へ急ぐ。

「あら、またかっこよくなった?」

むふふと笑うのこの人はメイクとか全て担当してくれる人。

「だったら嬉しいんですけどね。」

よろしくお願いします、と言って懐かしの怪我を再現したメイクをしてもらった。

服を着替え部屋から出たら周りが忙しそうにしていた。

「…なにかあったんですか?」

通りすがりのスタッフの人に尋ねる。

「機材トラブルがあって、今予備の物を準備しているところなの!ごめんね、もう少し待っててくれる?」

「わかりました…引き留めてしまってすみません。」

機材トラブル?

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