さすがセンセ

「仕事増やしてるのは誰ですか。」

「俺っすね。」

バッサリ切り捨てられた。仕方ないか。掴んでる手を離した。椚先生にはお世話になってるし、倒れるってなったら俺悲しくなるよ。

「…でも、気を遣ってくださりありがとうございます。」


「先生最高。」

「おっとストレスが。」

「ごめんって。」

なんだかんだ言っていい人なんだ。

「今日玲吾くんが頑張ってくれれば…早く終わって休めるんですけどねぇ。」

これは俺次第ということか?

「すぐ始めよう。」

ガタッと立ち上がる。

「いつもそうしてくれると嬉しいです。」

「はーい。」

気分だけど。今日はなんかやる気出ちゃったな。

「頑張るよ、俺。」

「…何を、ですか?」

わかりきったような見透かしたような目で。

「色々と。」

「えぇ、そうですね。貴方は自分をセーブしすぎてる。」

「やっぱりそう思う?」

「当たり前です。」

それじゃあ俺はどうしたらいい。


「…ゆっくり行きましょう。」

この人はいつも欲しい言葉をくれる。




________






「あっ!!お前っ!」

「え?」

廊下歩いていたら目の前に小さいやつが現れた。そしていきなり指差された。俺、これから曲の音合わせがあるのに…

「僕を隠してくれっ!!」

これまた意味わからないことを。

「えっと、まず君の名前は?」

「姫宮桃李だ!僕の名前を知らないとはどうなっても知らないぞ!!」

えっへん、と腰に手を当ててドヤ顔してる。いやいや…初対面だよね俺ら。

「姫宮くん。…で、俺は何をすればいいの?」

「だーかーらー!!僕を守って!!」

え、ちょっと待って、さっき言ってたのと違う気が。

「守る、かぁ…」

時間ないしどうしよう。


「坊ちゃま、ここにおられたのですか…探しましたよ。」

次は困ったような顔をする人が現れ、姫宮くんは俺の背中に周って隠れた。姫宮くんの保護者的存在の人?坊ちゃまって…まぁ、納得。苦労人だなぁこの人。

苦労人くんは俺の顔を見て固まった。

「貴方、もしかして…海崎玲吾、さま…ですか?」

「ん?」

君と一度でも会ったことあるっけ。これは事情聴取が必要かな。

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