すごい

「…あー。あー。」

…あれ?

「最近サボってましたね?」

「バレたか。」

はぁ、とため息をついて俺を見る。

「貴方の実力はこんなものじゃないです。いつものコンディションに戻るまで続けてもらいますから。」

わー…怖っ。昔の自分の姿を思い出し声を出した。難しい。喉かっぴらくのってどうやるんだっけ。

鬼の指導のもと何十分かやった。

「…いい感じ。」

始めよりはだいぶ良くなった気がする。

「…まぁいいでしょう。次は何曲か歌ってもらうのでレコーディング室に行きますよ。何か歌いたい曲はありますか?」

「何にしよっかなー。」

歌いたい曲を考えながら椚先生と廊下を歩く。

「椚先生の曲歌おう。」

「……。」

無言の圧力怖い。

「うそうそ。ごめんって。んじゃあ…ONLY YOUR STARSなんてどう?」

「いいチョイスだと思います。」

「褒められた。」

珍しい。

「褒めてませんから。」

少しくらい喜ばせてくれたっていいだろ。ガン見してたらため息つかれた。



────────────────────
?side


「…んー疲れた。」

チャイムが鳴り次の授業の間の休み時間になった。身体を伸ばして眠気を吹っ飛ばせる。他の皆もそれぞれ何かやってる。

…授業面倒くさいなぁ。何か面白いことがあったらいいのに。なんて思った矢先のことだった。


『あー。先生マイク入ってる?』

「…え?」

誰の声?周りの人も動きが止まった。

『緊張?…してないよ。久々歌えることが嬉しいんだ。』

もしかしてこの人、校舎全体に流れていること気づいてない…?!


「玲吾先輩だっ!!」

「え…玲吾先輩…!」

ひなたと翠は勢い良く教室を出て行った。

「え、え…」

どういうこと?

「誰でしょう…」

「なんだなんだ?!俺も行こー!」

「ちょっと待って皆どこ行くの?!」

創も鉄虎も行っちゃうし…廊下が騒がしくなっている。俺もつられて人が集まる所へ行った。

レコーディング室?

「北斗先輩も皆来てる…」

もちろん変態仮面も。レコーディング室はガラス張りだから中がよく見える。でも誰だかわからない。

その人は周りに気づく様子もなく目を瞑り、大きく息を吸って歌い始めた。

なぜか心に響いて仕方ない。



真白友也side終

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